メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

受け身の安倍政権に活路はあるか? 野党は?

不透明極まりない2019年の政治。希望は多様化が進む社会の側にある

牧原出 東京大学先端科学技術研究センター教授(政治学・行政学)

政権がダッチロールにならないために必要なこと

 だが、これはある意味で当然かもしれない。昨年9月の自民党総裁選で3選を果たした安倍氏の残りの任期は2021年9月までであり、現政権で今から新たな政策を打ち出し、それを仕上げ、国会を通したとしても、その成果を自らのものにするには時間がなさ過ぎる。受け身と守勢は、自らの任期が終了するまでに、これまで蒔(ま)いた政策のシーズを果実として刈り取ろうとしているからでもあるだろう。

 このように政権自体がその幕引きを見据えているとすれば、我々が政権を評価する際にも、終わりを先取りする必要が出てくる。そう思って見ると、今年の安倍首相の年頭挨拶は、政権の経済政策アベノミクスの実績を、データとともに誇ろうとしていた。

 もちろん、こうした自己評価が果たして正しいのかという厳しい審判は、政権が幕を下ろす際に、多方面からくだされるであろう。少なくとも、すべての人からねぎらわれ、拍手で見送られて退任というシーンは想定しにくい。片やデータによる居直りと強弁、片や犠牲となった人々からの呪詛(じゅそ)と罵詈(ばり)雑言が飛び交うことになりそうな雰囲気が漂う。

 こうした事態を回避するためには、政権として次期政権にまたがる課題を大々的に打ち出すしかない。その典型が、民主党政権がその最末期に実現した社会保障と税の一体改革であった。

 増税を伴う以上、罵詈雑言を浴び続けるのはやむを得ないが、一体改革が今なお政権を拘束しているのは、本年秋の消費税率引き上げを見ても明かである。安倍政権も、日本の将来を見据えた政策を打ち上げず、守勢に徹するだけでは、ダッチロールになるのは間違いない。

 それにいつ政権が気づくか。10月の消費税率引き上げにあたって、何かを打ち出す余裕があるかが、ポイントとなるのではないだろうか。

憲法改正を困難にする「改元」

新春恒例の街頭演説をする公明党の山口那津男代表=2019年1月2日、JR新宿駅前拡大新春恒例の街頭演説をする公明党の山口那津男代表=2019年1月2日、JR新宿駅前
 ともあれ、今のところ、受け身と守勢に徹して、過密な2019年の政治スケジュールに備えようとするのが、現政権の基本的な姿である。

 その結果として、ますます困難になるのは憲法改正である。公明党の山口那津男代表が新年の街頭演説で「数の力で一辺倒に押し切るような運営は厳に慎まないといけない。果断な意思決定が必要な場合もあるが、国会では真摯(しんし)に議論を尽くして幅広い合意形成を作り出していくのも重要な役割だ」と述べて、自民党単独の憲法改正発議を牽制(けんせい)している。

 それ以上にもまして注目すべきは、改元をめぐる諸行事である。 ・・・ログインして読む
(残り:約1666文字/本文:約5261文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

牧原出

牧原出(まきはら・いづる) 東京大学先端科学技術研究センター教授(政治学・行政学)

1967年生まれ。東京大学法学部卒。博士(学術)。東京大学法学部助手、東北大学法学部教授、同大学院法学研究科教授を経て2013年4月から現職。主な著書に『内閣政治と「大蔵省支配」』(中央公論新社)、『権力移行』(NHK出版)など。

牧原出の記事

もっと見る