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フランスでも新たな局面を迎えた「ゴーン事件」

ゴーン氏は「フェニキア商人」?労組の突き上げでルノーも窮地に

山口 昌子 在フランス・ジャーナリスト

東京地裁に出廷するカルロス・ゴーン容疑者を乗せて東京拘置所を出る車=2019年1月8日、東京都葛飾区拡大東京地裁に出廷するカルロス・ゴーン容疑者を乗せ東京拘置所を出る車=2019年1月8日、東京都葛飾区

地に墜ちたカリスマ

 カルロス・ゴーン(64)が東京地裁に勾留理由開示手続きで出廷したニュースはフランスでも大々的に報道された。特に長期刑務所生活を物語る頬のこけたイラストは、主要日刊紙「フィガロ」が一面で掲載したのをはじめ、全メディアが一斉に報道した。その一方で、ゴーンが所得税の申告をオランダで行っていたことなども暴露され、地に堕(お)ちたカリスマの復活は、事実上、困難になりつつある。

勾留理由の開示手続きに出廷した日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者=2019年1月8日、東京地裁、絵と構成・小柳景義拡大勾留理由の開示手続きに出廷した日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者=2019年1月8日、東京地裁、絵と構成・小柳景義
 これまでフランス側の公式見解は「推定無罪」、つまり有罪判決が下されるまでは「無罪」との法定上の原則に従って、ルノーもゴーン社長の解任は行っていない。メディアも敬称を付けてきた(もっとも、ゴーンは有名人。俳優やタレントなどと同様、敬称なしの報道も少なくない)。

 ルノー側はまた、解任しない理由として、「ゴーン氏の罪状の詳細が不明」としてきた。しかし、今回の勾留手続き開示により、直接の理由として「海外逃亡の可能性」と「証拠隠滅」のほかに、金融商品取引法違反容疑や特別背任容疑などの内容が詳細に明らかにされたことにより、この理由が成立しなくなった。

 くわえてゴーン個人の所得税、及び日産・ルノーの「アライアンス」としての会社組織の税申告地がオランダ・アムステルダムであることが、「リベラシオン」などの仏メディアによって報道された。これを受け、ルメール財務相がルノーに詳細な報告を要請したほか、労働組合が問題視したことで、「ゴーン事件」は本国フランスでも新たな局面を迎えている。


筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在フランス・ジャーナリスト

産経新聞パリ支局長を1990年から2011年までつとめる。著書に『ドゴールのいるフランス』(河出書房新社)、『フランス人の不思議な頭の中』(KADOKAWA)、『原発大国フランスからの警告』(ワニブックスPLUS新書)、『フランス流テロとの戦い方』(ワニブックスPLUS新書)、『ココ・シャネルの真実』(講談社+α新書)、『パリの福澤諭吉』(中央公論新社)など。ボーン・上田記念国際記者賞、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受賞。

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