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激しさを増す韓日の葛藤。その行く先は?(上)

元徴用工判決、レーダー照射問題、「和解・癒やし財団」解散……関係悪化は深刻だが

陳昌洙 世宗研究所首席研究委員・日本研究センター長

「1965年体制」から「ニューノーマル」へ

 最近の韓日関係の冷却状況は、これまでの韓日関係を支えてきた「1965年体制」(韓日国交正常化以後の韓日関係に関する暗黙ルール)の再検討が必要だということを物語っている。 換言すれば、これまで常識として存在した「1965年体制」が弱まり、「ニューノーマル」(New Normal)とも言うべき韓日関係が定着しつつある実情を理解しなければならないのである。

 「ニューノーマル」の韓日関係とは具体的にどういう関係か?第一に、過去の問題が国内政治化し、政府の役割の限界を超えるようになった。第二に、経済を中心とした競争が中心となり、協力より競争を優先する声が大きくなってきた。

 その結果、国際関係において、韓日協力が重要だという認識よりも、互いに相手を無視しいじめようという現象がしばしば見られるようになった。さらに、韓日両国に漂う不信感、とりわけ日本国内の不信感は、韓国が主張する過去の歴史に対する正当性を、日本社会が受け入れない状況になっている。

 「ニューノーマル」時代の韓日関係には幾つかの特徴がある。まず、韓国に対する日本世論が変化した。韓国を批判する声が強まり、今や韓日関係を妨げる大きな障害になっているといっても過言ではない。

互いの好感度が韓日で逆転

茨城空港に着いたソウル便(イースター航空)から降りてきた韓国人観光客ら。=茨城県小美玉市の茨城空港拡大茨城空港に着いたソウル便(イースター航空)から降りてきた韓国人観光客ら。=茨城県小美玉市の茨城空港
 峨山政策研究院の2018年韓日国民相互認識調査によると、韓国人の日本人に対する好感度は2013年の12.2%から毎年増加して、今年28.3%に達した。一方、日本人の韓国人に対する好感度は2013年の31.1%から毎年下落し、22.9%にまで落ち込んだ。韓日で好感度の逆転現象が起きたのである。

 このような日本人の「空気」を反映しているのが、日本人と韓国人が互いの国を訪問する人の数である。2017年に700万人を越える韓国人が日本を訪問したのに対し、韓国を訪問した日本人は300万人以下で、かつて500万人に肉迫した訪問者数が半分以下に落ち込んでいる。

 こうした現在の韓日関係の姿は、まさしく「激しい日本、冷淡な韓国」という言葉がふさわしい。日本が、韓国の姿勢や態度を批判し、自分たちの道徳的正当性を主張する時代になった。実際、元徴用工判決や「和解・癒やし財団」解散に対し、日本は韓国に「条約や合意を守らなければなければならない」と主張している。歴史問題での要求を繰り返す韓国への嫌悪感や疲労感が、日本の批判的な姿勢に拍車をかけた面もある。

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筆者

陳昌洙

陳昌洙(ジンチャンス) 世宗研究所首席研究委員・日本研究センター長

1961年、韓国生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士過程修了(政治学博士)。96年から現職。北海道大学特任教授(2011年)、現代日本学会会長(2013年)、世宗研究所所長(2015~18年)などを歴任。現在は南北首脳会談諮問議員も務めている。日韓関係や日本政治、東北アジア国際関係など関する著作や論文多数。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです