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あなたが地方選挙に出れば政治が変わる

地方選挙に出ることのメリット・デメリットを考えたら見えてきたもの

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士

政治・行政の仕組みが分かる

 第二のメリットは、「政治・行政の仕組み」が分かることです。「おいおい、そんなこと、分かってから立候補しろよ」という声が聞こえてきそうですが、三権分立や地方自治の二元代表制といった基本的な知識は、立候補する方は当然勉強しておくべきなのですが、そこから先の、実際の行政・政治がどういう仕組みで意思決定され、どんな力学で動いているかというのは、中に入ってみないとなかなか分かりません。

2015年統一地方選。新潟県内の5町村議選が告示。旅館や飲食店が立ち並ぶ目抜き通りを、支持を呼びかけながら走る選挙カー(本文とは関係ありません)=2015年4月21日、JR越後湯沢駅前拡大2015年統一地方選。新潟県内の5町村議選が告示。旅館や飲食店が立ち並ぶ目抜き通りを、支持を呼びかけながら走る選挙カー=2015年4月21日、JR越後湯沢駅前
 それが分かるようになるということは、多くの人にそれを伝えられるということですし、その知識を使って行政・政治をより良い方向に動かせるようになるということです。この点は、あまり意識されてはいませんが、実は非常に意義深いことであると私は思います。

 行政・政治の仕組みが分かってくると、「地方議員」が政治において果たす極めて重要なもう一つの役割に気が付くはずです。それはズバリ、「国政選挙の実働部隊」です。

 自民党系会派なら完全強制、野党系でも団体の支援を受けての立候補ならほぼ強制、無所属(独立)系なら自分次第、と会派によるスタンスの違いはありますが、いずれにせよ国政選挙における「組織力」の多くの部分は、地方議会議員が担っています。国政選挙でしばしば聞く「地上戦」の実態は、実際に選挙に携わるまではなかなかピンときませんが、地方議員になると、「地上戦」の意味と意義がよく分かり、自民党系と野党系の「地上戦力」の圧倒的な違いが国内政治に与えている影響を、実感として理解できると思います。

人が自分の主張を聞いてくれる

 第三のメリットとして挙げた、「人が自分の主張を聞いてくれる」は、自己顕示欲の実現という風に聞こえるかもしれません。でも、議員になってみたいと思う人は、最初から政治についていろいろ考えるところがあり、ほとんどの場合それは、地方自治体内部の問題にとどまらず国政、さらに場合によっては、世界情勢にまで及びます。

 そういった政治に対する自らの考えを述べることは、議員になろうがなるまいが、もちろん自由です。とはいえ、まったく政治にかかわらない人が、街頭で道行く人に向かって話しかけても、なかなか聞いてもらえるものではありません(胸が痛くなります…)。ところがひとたび議員になれば、そもそも公式の場で自分の考えを披露する機会が与えられますし、いきなり街角でマイクを握っても、何人かに一人は真剣に耳を傾けてくれます。

 それは、そういうことが好きな人、選挙に出ようなどとちょっとでも考える人にとっては、実のところ、結構大きなメリットなのではないかと思います。

実は結構お給料がいい

 最後に少々あざとくなりますが、第四のメリット、実は結構お給料がいい、です。

 全国全自治体報酬番付を見てください。全1666自治体の中間値、833番目で月額29万5000円、これに期末手当等加えると、ざっと500~600万円くらいにはなります。しかも議会があるのは年間120日程度で、その他の日は副業(もしくは本業)ができます。これは地方における給与水準として、まったく悪いものではありません。

 さらにこの番付の上の順位を見ていただくと、たとえば政令市である新潟市は65万3000円、新潟県議会は月額77万1000円、と、年収1000万円程度(超)となっており、かなり高給な職業といえます。議員は、議員報酬を目的としてやるものではまったくありませんが、しかし、少なくとも生計が立たないようなことはなく、報酬的にはむしろ魅力のある仕事であるのは事実でしょう。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

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