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県民投票の会代表がハンストで問う「民主主義」

10万人超の署名を集めた責任。「もう体を張って、アピールするしかありません」

岩崎賢一 朝日新聞記者

拡大不参加を表明した5市での投票実施を求め、ハンガーストライキを始めた「『辺野古』県民投票の会」の元山仁士郎代表(右)。水のみで抗議活動を続ける=2019年1月15日、沖縄県宜野湾市

 沖縄県が条例で定めた県民投票を行わないと表明する市が出てきたことを受けて、県民投票の実施を直接請求した市民団体の代表が2019年1月15日午前8時、住民票を置く宜野湾市の市役所前でハンガーストライキに入った。直接請求は住民の発意で地方公共団体に一定の行動を取らせる参政権の一つだが、請求した団体の代表でさえ投票できない事態になっている。

「もう体を張って、アピールするしかない」

 「Hunger Strike for the Henoko Referendum 県民投票への参加を求めるハンガーストライキ」というメッセージを掲げてストライキを始めたのは「『辺野古』県民投票の会」代表の元山仁士郎さん(27)。WEBRONZAはストライキに先立つ1月8日、元山さんのインタビュー記事『「辺野古」県民投票の会代表の元山さんに聞く』を公開したばかりである。

 ハンストの様子は、沖縄のメディアのほか、全国紙やテレビ局の一部が報じ、インターネットのニュースサイトに流れた。1月16日にはお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんが駆け付けてインタビューを実施。SNSでも情報は拡散している。

拡大元山さんのツイッター(https://twitter.com/Jin46o)
拡大ハンストの様子を伝えるNHK沖縄のインターネットのニュース記事

 私も1月16日午前に元山さんからメールをもらい、電話をした。水を飲むだけで食事はしていないという。

 「10万人を超える人に署名をしてもらい、県が条例を制定しての県民投票です。辺野古を巡る議論を深めていこうというときに、投開票を実施しない自治体がでてきました。この間、市町村が投開票をやるか、やらないか、という議論に終始してきたことについては不本意です」

 健康状態をみながらだが、5市が投票実施を表明するまで続ける覚悟だという。

 私は1月4日、2時間にわたって元山さんにインタビューをしたが、この日伝わってきた電話の声のトーンには無念さが色濃く感じられた。

 「私たちは、議長や議員に会ったり、呼びかけたりして、県民投票への参加をお願いするなど様々な手を尽くしてきました。県知事側が市長にお願いしても、不参加の態度が変わりませんでした。もう体を張って、アピールするしかないのです」

 署名をしてくれた人は、県内全市町村でそれぞれの市町村に直接請求できる有権者の50分の1を超えた。計10万950人。県が審査した結果、9万2848人の署名を有効と認めた。16日現在、県民投票への不参加を表明している5市の市民の署名も含まれている(5市で集めた署名数は、宜野湾市で5264人、沖縄市で7702人、うるま市で7135人、宮古島市で4646人、石垣市で2428人)。

 5市の市長は、補正予算案を否決した議会を尊重した判断だという趣旨の見解を示しているが、政府・自民党への忖度があるのではないかという見方が専門家らの間で広がっている。

 一方、自民党沖縄県連では1月16日、県民投票への不参加を市議らに指南したと報じられている国会議員が記者会見し、反対するように説いて回ったことはないなどと否定したという。

 「多くの県民が投票したいというのに、首長が市として参加しないという判断はとても残念です」と元山さんはいう。

 市民団体では、新たに1月21日を期限とし、5市の有権者が県民投票に参加できるように5市に求める署名を県民全体から集め始めている。

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筆者

岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき けんいち) 朝日新聞記者

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで医療や暮らしを中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当を経て、現在はオピニオン編集部。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)。withnewsにも執筆中。

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