違法だが是正する手段がない状態
では、どうして上記5市の市長は、県民投票事務の執行を公然と拒否しているのでしょうか?
地方自治法は第148条で「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の事務を管理し及びこれを執行する」と定め、地方自治体の行為の執行権を、ほぼ全面的に地方自治体の長に委ねています。
そして、県からの委託事務をおこなわなかった場合、仮にそれが違法であっても、それを強制的におこなわせる手段は法定されていません(法律もしくは政令による法定受託事務であれば、是正の指示や代執行の手続きが定められていますが、今回の県民投票は条例による自治事務と解されています)。
従って、各市長による沖縄県から委託された県民投票事務の拒否は、違法であるが、それを是正する手段がない状態、つまり法的根拠なく事実上拒否されている状態だといえます。別言すると、これらの市の県民投票事務の執行拒否は、「市の民意の反映」というよりはむしろ、自らの政治的意見と異なる職務の「違法なサボタージュ」といわれても止むを得ないもののように思われます。
法治主義、民主主義を傷つける行為

抗議のハンガーストライキを中止した「『辺野古』県民投票の会」の元山仁士郎代表。県民投票の行方はどうなるのだろうか=2019年1月19日、沖縄県宜野湾市
ここで問題にするべきは、はたしてこれでいいのかという問いでしょう。
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