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韓国「情」社会の良し悪し

なぜ「かわいそうな」状況に陥っているのかという社会の構造に目を向けて

藏重優姫 韓国舞踊講師、日本語講師

拡大ソウル市内の街角で始まったキムチづくり。「キムジャン」と呼ばれ、初冬の風物詩だ=2002年11月26日

「頼む頼まれ」「助け助けられ」

 私は頼むことが苦手。他人に迷惑をかけると思うからです。日韓境界人と自称している私ですが、「頼む頼まれ」「助け助けられ」においては全くの「日本側」だな、と思います。

 私は多文化家庭のバドミントンサークルで、毎回鍵を開けなければなりません。ある時、仕事で遅くなり、バドミントンのオンニ(언니:知り合いのお姉さん)にそのことを気兼しながら伝えると、「ああ、私がやっておくから、ゆっくり仕事をしておいで。気を付けてね!」と即答されました。

 それだけで涙が出そうになります。私はとにかく頼むことが苦手なのです。

 でも考えてみれば、経済的に厳しい環境で育った私は、人に甘えるという事を知らず、何でも自分でできるように育てられたんですね。浪人の時などは、塾は「タダ予備(進学率の高い高校に通っている生徒はタダで通える中規模の塾)」で、塾の教科書代、電車賃、お弁当代、次の受験の願書代なども全部自分のアルバイトで稼ぎ、このうちの一つでも出して貰おうかなどという考えすら起こりませんでした。

 助けてほしい状況でも、自分でなんとか凌ぐ! これしか知らなかったんですね。「甘え上手」という言葉がありますが、私には縁の無い言葉で今でも羨ましく、平和だなという感じがします。

 さて、そんな私に、ご近所さんたちは、キムチや畑の収穫物、そしてバザーに行って来たと言っては、色々とお裾分けしてくれます。昨年からは、とうとう近所のおばさんのススメとプロデュースでキムジャン(11、12月頃、韓国では家庭ごとに自分たちが一年間食べるキムチを一気につける行事)まですることになりました。

 また、仕事で非常事態が起きると、一日中、子どもを預かってくれたりもします。小さいことから大きなことまで、大なり小なり貰ったり助けられたりすることが多いなと思います。そして、その都度私は、申し訳ないと思い、毎回「お返し」をするのですが、相手は、それが少し負担のようです。

 礼儀正しいというよりかは、いつになっても私から距離を置かれてるようなそんな気がすると言っておられました。ま、でも、今は私のそういう部分にも少し慣れてくれたみたいですが……。

 私の遠慮がちな性格は、貧しかった生い立ちもあるかも知れませんが、根本的に日本と韓国のコミュニケーションの方法が違うのでは?とも思います。

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筆者

藏重優姫

藏重優姫(くらしげ・うひ) 韓国舞踊講師、日本語講師

日本人の父と在日コリアン2世の間に生まれる。3歳からバレエ、10歳から韓国舞踊を始め、現在は韓国にて「多文化家庭」の子どもを中心に韓国舞踊を教えている。大阪教育大学在学中、韓国舞踊にさらに没頭し、韓国留学を決意する。政府招請奨学生としてソウル大学教育学部修士課程にて教育人類学を専攻する傍ら、韓国で舞台活動を行う。現在、韓国在住。日々の生活は、二児の子育て、日本語講師、多文化家庭バドミントンクラブの雑用係、韓国舞踊の先生と、キリキリ舞いの生活である。

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