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反転攻勢!マクロンは元祖「黄色いベスト」?

過激化、政党化したデモを尻目に、市民との直接対話を目指す「大討論会」をスタート

山口 昌子 パリ在住ジャーナリスト

「市民主導による国民投票」は否定

フランスの右翼・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首=2018年3月10拡大フランスの右翼・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首=2018年3月10
 1月24日にフランス南西部アルプスに近いドローム県近くの小都市ブールジ・ド・ページェで開かれた「大討論会」では、「黄色いベスト」数十人を含めた市民と市長ら約200人が参加した。同市の場合は、無党派の女性市長(49)の要請に応じて同市に出向いたマクロンが冒頭、「自分は、この(「黄色いベスト」による)危機の息子である」と反省の弁を述べた。出鼻をくじかれたせいか、「黄色いベスト」の反撃もあまりなく、2時間の討論を終えた。

 この時は、「黄色いベスト」が叫ぶ「市民主導による国民投票(RIC)」、すなわち「国民議会の解散」や「マクロン辞任」の要求を、「参加の民主主義」とはまったく異なる考えと否定。極右政党・国民連合(RN)のルペン党首らがRIC支持を表明していることもあり、ポピュリスム(大衆迎合主義)の一端として退けた。

マクロンは「金持ち大統領」

 マクロンが「金持ち大統領」「銀行家大統領」と批判されるゆえんは、政界入り前まで、金持ちの代名詞のような「ロッシルド(英語読みはロスチャイルド)」の名を冠する商業銀行のナンバーツーで、高額所得者だったからだ。それが、2012年のオランド左派政権誕生と同時に、オランド大統領に“見初められて”政権の中核、エリゼ宮(大統領府)の事務局次長に就任し、さらに15年には議員経験なしで経済相に抜擢(ばってき)された。この時は社会党内に「左派政権がロッシルド銀行マンを登用するとは」と激震が走った。

 マクロンは大統領に就任するや景気回復策の一環として、富裕層対象の「富裕税」の廃止を決定した。そのため、「やっぱり金持ち大統領」との批判と落胆、怒りが広がり、それが「黄色いベスト」運動拡大の起爆剤の一つになったことは否めない。

 特別背任などで起訴されたカルロス・ゴーンが2012年以降、所得税の申告をオランダに移していたのも、フランスには「富裕税」があるからだ。ゴーンは早手回しに、日産・ルノーの提携組織「アライアンス」の本拠地を02年にアムステルダムに設置した。

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) パリ在住ジャーナリスト

1990年よりパリ在住ジャーナリスト。主著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。

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