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冷めたピザ? 凡人・小渕首相のしたたかな実像

平成政治の興亡 私が見た権力者たち(9)

星浩 政治ジャーナリスト

自自公連立内閣発足の前日に開かれた3党首会談。左から当時の小沢一郎自由党党首、小渕恵三首相、神崎武法公明党代表=1999年10月4日、首相官邸拡大自自公連立内閣発足の前日に開かれた3党首会談。左から当時の小沢一郎自由党党首、小渕恵三首相、神崎武法公明党代表=1999年10月4日、首相官邸

参院選前の不思議な体験

 1998(平成10)年6月までの通常国会で、念願の省庁再編法の成立を成し遂げた橋本龍太郎首相は、夏の参院選を乗り切り、次の政策課題に取り組む準備を進めていた。メディアの世論調査も、橋本首相率いる自民党の「優勢」を伝えていた。

 実はこの参院選をめぐって、私は不思議な体験をしている。

 前年の97年11月、当時外相だった小渕恵三氏が国際会議に出席するためにカナダのバンクーバーを訪れた。当時、ワシントン総局にいた私も会議の取材に加わった。

 旧知の小渕氏から「メシでも食おう」と誘われて、中華料理を食べていた時のことだ。私が「参院選は安泰で、橋本首相の続投ですか」とたずねたら、小渕氏が声を潜めて、「いや、そうでもないんだ」と言う。「経済情勢が悪く、橋本君に逆風が吹くかもしれない。俺も準備をしておかないと」と、小渕氏にはめずらしく、首相の座に意欲を示した。

 さらにもう一つ。特派員勤務を終えた私は98年4月に帰国、政治部のデスクとして国内政治の取材を再開した。5月になって、旧知の大蔵省幹部が政局の行方について話したいという。会ってみると、「大蔵省の分析では、経済情勢が悪く、参院選で自民党の苦戦が避けられない。橋本首相の続投は難しい。その場合、後継は小渕外相だと思う」という。

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

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