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「県民投票劇場@沖縄」を取材して

5市の不参加表明、指南書、ハンスト、県議会迷走…私たちは民主主義の未熟な担い手だ

島袋夏子 琉球朝日放送記者

指南書

拡大宮﨑議員作成の文書=琉球朝日放送提供
 ドタバタ劇には、疑惑の文書も登場した。地元紙が、自民党系の市町村議会議員に配られたという、いわゆる「指南書」の存在を報じたのだ。渦中の国会議員と、自民党県連が会見を開いた。

 「指南書」だと指摘された文書を作成したのは、宮﨑政久衆議院議員だ。宮﨑議員は、弁護士でもある。文書には、詳しい法令の解釈や見解が記されていた。

 文書では、県民投票関連の補正予算案が、市町村議会で2度否決された場合、「市町村長が予算案を執行することが可能」としつつ、議会で否決されたのに反して市町村長が予算案を執行することは「議会軽視であり、不適切である」と結論づけていた。

 5市の議会で補正予算案が通らず、市長たちが不参加に回ったのは、宮﨑議員の文書が影響したからか。記者の追及が相次いだが、宮﨑議員は「県民投票を否定するために、説いて回っているわけではない」と釈明を繰り返した。

 とはいえ、弁護士の言葉には力がある。私は、「不適切である」という考えは、どういう立場で発言したのかと質問した。

 宮﨑議員は、それは「議会人としての考え」だと答えた。

 別の文書では、「県民投票の不適切さを訴えて、予算案を否決することに全力を尽くすべきである。議員が損害賠償などの法的な責任を負うことはない」とも述べていた。それらも「議会人としての考え」らしい。

 舞台は、宮﨑議員のペースのまま幕を閉じた。

拡大宮﨑議員と自民党県連が会見=2019年1月16日、琉球朝日放送提供

 予算案が否決されても首長が専決処分で予算を執行できる、というのは法律家としての建前。執行は不適切だ、というのは政治家としての本音。

 宮崎議員は「弁護士」と「議会人」と立場を使い分け、言い逃れをしている。私はそう感じ、会見終了後に追いかけて、こう聞いた。

 「宮﨑さんの発言は、弁護士の見解か、議会人の見解かわかりにくいのでは」

 すると宮﨑議員はこういった。

 「私は、話すたびに、今から弁護士として言います、とか、議会人として言います、とか、断りを入れて話さなくてはならないのですか」

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筆者

島袋夏子

島袋夏子(しまぶくろ・なつこ) 琉球朝日放送記者

1974年沖縄県生まれ。琉球大学法文学部卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修了。 山口朝日放送で約10年勤務したのち、2007年に琉球朝日放送入社。米軍基地担当などを経て、現在はニュースデスク、調査報道担当。2014年「裂かれる海~辺野古 動き出した基地建設~」で第52回ギャラクシー賞番組部門大賞、2016年「枯れ葉剤を浴びた島2~ドラム缶が語る終わらない戦争~」で日本民間放送連盟賞テレビ報道部門最優秀賞、2017年石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞公共奉仕部門奨励賞など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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