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29時間で身につく「にわか韓国語講座」(23)

第7章 困った時の切り抜け方 1.硬い言葉を恐れず漢字語に言い換える

市川速水 朝日新聞編集委員

ちょっと寄り道㊳ 臭い、匂い、香り

 「嗅覚(きゅうかく)」にまつわる言葉は難しいですね。嫌な「におい」や、気分が和らぐ「アロマ」、香水の「香り」など、使う単語によって感覚の差を微妙に区別します。形容詞も「かぐわしい」「くさい」と様々ですし、程度を表す言い回しも「プンプン」「ほのかに」「一面に」「充満」など数えきれません。

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 韓国語も使い分けています。「におい」は「ネムセ(ネムセ)=냄새」、香りは「ヒャンギ(ヒャングギ)= 향기」。後者は「香気」という漢字語です。私が浴びせられる言葉はたいがい「ネムセ」の方です(ニンニクや焼き肉の煙が原因)。

 韓国語には「匂う」「臭う」という形容詞はないようです。「におう」を辞書で引くと、「냄새가 나다(ネムセガ・ナダ)」、直訳すれば「においが出る」です。

 日本語で言うと「臭いがする」「香りがする」でしょうか。考えてみると、においは気体なので「出る」がむしろ正しいような。日本語はなぜ「する」のでしょうか…。

 ところで、「臭」という字はたいがい良くない臭気の意味で使う場合が多いのに、日本語には「悪臭がする」「いやな臭い」と意味を重ねていう場合もあります。「このあたり変なにおいがする」と「このあたりは臭う」は、ほぼ同じ意味ですよね。こうした言葉は、広い意味で「重言」(じゅうげん、じゅうごん)というようです。

 臭いのほかにも、「歌を歌う」「踊りを踊る」など、ふだん使う言葉にもたくさん隠れています。有名なものでは「頭痛が痛い」「馬から落馬する」など熟語と動詞・形容詞を掛け合わせた場合に目立ちますが、これらは新聞社など活字や文章の世界では御法度で、「間違い」「要修正」とされます。ただ、「えんどう豆」「びっくり仰天」となると、よく考えると重言なのですが、あまりにも日常に浸透しているため、問題ないとされます。

 韓国語でも「踊りを踊る」は、同じ字を使って춤을 추다(「ㅁ」パッチムは、動詞を名詞形にする時の子音の一つ)といいますが、ほかの動詞は日本語ほど多くありません。例えば「歌を歌う」の場合は「노래를 부르다」と言います。부르다は「呼ぶ」「招く」という意味で、口から何か発して呼びかける場合に使います。「ノレ・ハダ」も使います。「歌をする」という感じですね。

 부르다は「称する」「叫ぶ」など、使い勝手がいい言葉です。飲みに誘ったり誘われたりする時も。

 そうそう、重言でいえば、「ハングル文字」が代表格ですね。ハングルの「クル」は文字のことですから。ただ、ハングル文字について、「それは間違い」と指摘しても、知ったかぶりと思われるだけなので、気をつけましょう。

 今回は、立て続けに別な寄り道です!

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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