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「選挙イヤー」に考えるネット選挙の実態と懸念

「理念なき解禁」から6年、加速するイメージ政治と停滞する選挙制度改革

西田 亮介 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授

オンライン投票は例外的な状況に限定して利用

 ところで、ネット選挙についての現実的な提案ということでは、総務省の「投票環境の向上方策等に関する研究会」が2018年に公開した報告書が参考になるだろう。この研究会では直近の期に「投票しにくい状況にある選挙人の投票環境向上」と「選挙における選挙人等の負担軽減、管理執行の合理化」が検討された。

 ネット選挙やオンライン投票と関係するのは前者だが、そこで議論の俎上(そじょう)にあがっているのは、「不在者投票の更なる利便性向上」「障害者等の投票環境向上」「在外投票の利便性向上(インターネット投票)」「洋上における投票の利便性向上」である。要は、例外的な状況に限定した利用を推進していくべきであると述べられている。例えば、従来、在外投票に際しては現地の大使館を尋ねる必要があったが、地理的制約などもあり、その解消にオンライン投票が可能ではないかとされる。

 総務省が初めて、ネット選挙をはじめとする投票環境の向上に対して、少額とはいえ予算措置を講じたことも注目に値する。「平成31年度総務省所管予算 概算要求の概要」によれば、「主権者教育の推進と投票しやすい環境の一層の整備」という項目に「投票しやすい環境の一層の整備」として、3.2億円の予算が計上された。

 説明には、「条件不利地域の者など投票しにくい状況にある選挙人の投票環境の向上を図る観点から、 在外選挙人が投票しやすい環境を整備するための取組(検討)等の推進」と書かれているのみで、具体策は判然としないが、各種の報道などを総合すると実証実験などが想定されているようだ。

ネット投票はリスクを踏まえた議論を

可児市市議選でトラブルを起こした電子投票機器を調べる岐阜県選管の職員ら=2003年12月18日、可児市役所拡大可児市市議選でトラブルを起こした電子投票機器を調べる岐阜県選管の職員ら=2003年12月18日、可児市役所
 こう書くと、オンライン投票に向けて期待が高まるかもしれないが、 ・・・ログインして読む
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筆者

西田 亮介

西田 亮介(にしだ・りょうすけ) 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授

1983年生まれ。慶応義塾大学卒。同大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。専門は情報社会論と公共政策。著書に『ネット選挙』(東洋経済新報社)、『メディアと自民党』(角川新書)、『マーケティング化する民主主義』(イースト新書)など。

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