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統計不正を国会で糺す!公文書改竄を忘れるな!

官僚に過剰に忖度させる現政権の体質を引き続き厳しく追及していく

小川淳也 衆議院議員

拡大衆院予算委員会で質問する立憲民主党会派の小川淳也氏=2019年2月12日

反響大きかった国会質問

 2月12日、再び衆議院予算委員会で質疑に立ちました。

 前回の質疑ではあまりに多くの反響をいただき、本当に感謝と感動でいっぱいです(「統計不正を国会で糺す!本丸は「GDP」だ!!」参照)。

 私も実は長い間、「絶望」と闘っていました。こんな政治でいいのか。こんな政治家の姿勢でいいのか。こんな社会の風潮を許すなら、一体私たちは子どもたちに、何といって顔向けできるのか。

 そんな私の絶望とも渇望とも言える思いに、多くの有権者の皆様が、善意で応えてくださった今回の経験は、今後の私自身の取り組みにとって、最大の励ましとなりました。本当にありがとうございました。

 いただいたお電話や、メールやSNS等のメッセージは700件以上、皆様が投稿してくださった質疑動画の視聴回数は全て合せると10万回とも20万回とも。

 本当に勇気づけられました。ありがとうございました。

「不作為と無責任」の背景には「保身」がある

 さて、今回も、引き続き統計不正の問題についてです。

 今日は、党の方針もあり、まずはこの統計不正に深く関わったと疑われる厚生労働省の大西前統括官を参考人として招致しました。

 この原稿では、一連の経緯に鑑み、これだけの社会問題になった以上、あえて実名で議論させていただくことをお許しいただきたいと思います。

 厚労省の監察委員会中間報告を見る限り、この問題は2003年頃のシステム改修のミスにより、始まったものと思われます。しかしその後、何代にもわたってミスの存在が放置され、隠し通されてきたわけです。

 しかし、過去に何度かこのミスを正すチャンスがあったことがわかります。1回目は2017年の冬、当時担当の石原統計室長が、当時上司であった酒光統括官に、統計不正の存在を告白したことでした。

 ただ、この不正告白のきっかけが一体何だったのか、報告書を見ても分かりません。

 改めて委員会への元石原統計室長の参考人招致を求めたいと思います。またこの時、酒光元統括官はこの不正を糺すよう、石原室長に指示しています。しかし、残念ながらその後フォローすることはなく、そのまま不正は続いていくのです。

 そして、この酒光統括官の後任として、2018年7月に着任したのが、今回の参考人、大西前統括官でした。大西氏に聞いたところ、着任時に酒光さんから、具体的な引き継ぎは受けていないとの証言がありました。だとすれば、酒光氏は意図的に事態の隠蔽を企図したか、もしくは、極めて危機管理能力が欠如していたか、そのいずれかということになります。

 酒光さんについてもやはり国会招致が必要です。

 大西前統括官は、着任の翌2018年8月には、統計委員会に対して、賃金数値が上振れしたことの説明を求められ、不正を隠蔽したまま嘘の説明をしてしまいます。この時点で、当時の部下である、野地統計室長から、真相の説明を受けておらず、分からなかったというのです。結果として、大西氏は部下の野地氏に騙されていたということになり、組織体制や文化が一体どうなっていたのか、理解に苦しみます。

 監察委員会の中間報告によれば、この隠蔽やウソの説明は、意図的・組織的なものではなかったとの結論になっていますが、それで本当にすむのか、さらなる追及が求められます。

拡大衆院予算委で小川淳也氏の質問に答弁する厚労省の大西康之・前政策統括官=2019年2月12日

 しかし、大西氏の答弁ぶりを見る限り、どこにでもおられる善良な、普通の霞が関官僚であり、その意味では私にとっても先輩であり、まさに「悪事」は「悪人の確信」によってなされるものというより、ごく普通の人間の、「不作為と無責任」が連続することによって蓄積する。そして、その背景には、判断力や正義感の欠如という問題に加えて、やはり保身がある。そして、保身には、個人的保身と、組織的保身がある。そう思えてならないのです。

 大西前統括官は、賃金構造統計の不正調査についても、総務省の一斉点検に「特に問題なし」という、虚偽の報告を許しています。さらに言えば、不正を覆い隠すために、こっそり調査方法をルールの「訪問調査」から、実態の「郵送調査」に、逆に切り替えるよう総務省にひそかに変更承認をしようとした疑いがあります。

 結局、一連の経緯の中で、誰もが事の重大性に気づくチャンスがあり、また不正を糺すチャンスがあったはずなのに、まるでポテンヒットのように無責任と不作為が繰り返され、最終的にはデータの再計算、国民への追加給付、予算案の作り直しという、考えうる限り最悪の過程を辿るのです。

 ただ、いずれにしても、最大のキーマンたる酒光元統括官と、石原、野地元統計室長の3名の国会招致は、必須であり、未だ実現していません。厚労省の内部調査には、厳正な結果を期待できない以上、3名の早期の国会招致が必要です。


筆者

小川淳也

小川淳也(おがわ・じゅんや) 衆議院議員

1971年香川県高松市生まれ。衆議院議員5期目。立憲民主党・無所属フォーラム幹事長特別補佐。高松高校、東京大学法学部卒業。1994年自治省入省。沖縄県庁、自治体国際化協会ロンドン事務所、春日井市役所などを経て、2003年民主党より香川県第1区にて立候補するも惜敗。2005年初当選。2009年総務大臣政務官、2017年民進党役員室長。著書に『日本改革原案 2050年成熟国家への道』(光文社)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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