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29時間で身につく「にわか韓国語講座」(24)

第7章 困った時の切り抜け方 2.3.

市川速水 朝日新聞編集委員

第7章 困った時の切り抜け方
2.無敵の丁寧語「~スムニダ」「~イムニダ」
3.「え?」「う~んと」聞き返す言葉

拡大1年前の2月23日、覚えていますか? あのザギトワ選手が平昌オリンピックで優勝した日なんです。メダルの側面には密かにハングルが刻まれていました。

無敵の丁寧語「スムニダ」

 ヨロブン、アンニョンハセヨ!

 先日、駅で東南アジア系とみられる若者が日本の職場と電話でやりとりしているのを見ました。
職場の上司から何か仕事を要求されているらしいのですが、「そりゃ、やれって言われりゃできないこと、ないっすけどね」と。発音はとつとつとでしたが、見事な口語で応じていました。

 丁寧に言えば、こうなりますね。

「それは、しろと言われればできないことではないのですが」

 何がどう違うのか。乱暴、丁寧と大雑把に分けるのは簡単です。ここでは、接続詞、命令、間接話法、語尾、若者が良く使う言い方、と全てが入っていて、それが同時に表現されていることがすごいのだと思います。

 自分が韓国語でそんなふうに言えるかどうか。これは遠い道のりです。でも、例えば日韓の研究者が集い、すべて韓国語で発表や質疑応答をする場面を何度も見てきましたが、それほど流暢な口語を操る学者に出会ったことはほとんどありません。

 なぜなのか。それは「環境」「必要条件」にあると思います。いつも話す相手、いつも見ている文献に自分の言葉遣いも左右されるからでしょう。だから、あれこれ韓国人の若者と間違われるほどの言葉を繰り出すよりも、きちっと読める、話せる、聴けることを重視するかどうか、その度合いで自分の言葉に向き合う態度も決まっていくのだと思っています。

 ですから、今回の講座は、新聞記者という私の立場からものを言っている面が強いことを改めてご理解ください。

 市場のおばさん、タクシー運転手、学校、ホテル、記者会見。それぞれ言葉遣いの丁寧さがみな違います。ここは日本語の世界とほぼ一緒だと思ってください。私が経験した英語や中国語の世界とは違います。というと英語や中国語を熟知している方々は「どの言葉も丁寧語はある」とおっしゃるでしょうが、やはり日本語で感じる違いと酷似している、というのが私の皮膚感覚です。

 先方と調子を合わせられれば一番いいのですが、むしろ、きっちりと「スムニダ」「ハムニダ」「イムニダ」で通せば誰も嫌な気持ちがしません。かえって相手側が「スムニダ」話法に移ってきてくれる可能性もあります。こちらの世界に引きずり込むのです。

 また、「~ヨ」と「ヨ」を末尾に使えば、「スムニダ」よりは弱いけれど日常的に使う「~です」「~ます」になります。

 映画やドラマ、友達言葉で使う友達言葉(반말、パヌマル)に目を奪われがちですが、大統領から市民まで「スムニダ」(最上級)と「ヨ」(上級)は、誰と話しても失礼のない、無敵の言葉だと思います。

 例を挙げます。左から順番に、パンマル→上級→最上級です。

分かった:元々の語は알았다(アラッタ=알다、アルダの過去形)
알았다→알았어(アラッソ、分かった)→(上級)알았어요(アラッソヨ、分かりました)または알았습니다(アラッスムニダ、分かりました)→(最上級)알겠습니다(アルゲッスムニダ、わかりました)

食べた:元々は먹었다(モゴッタ=먹다、モクタの過去形)
먹었다→먹었어(モゴッソ、食べた)→(上級)먹었어요(モゴッソヨ、食べました)→(最上級)먹었습니다(モゴッスムニダ、食べました)

行く
가다(カダ、辞書に載っている「行く」)→가(カ、行く、行け)→가요(カヨ、行きます)→갑니다(カムニダ、行きます)

 ドラマでよく「カ!」というのを聞くことがあると思います。「行け!」つまり、「出て行け!」と怒る場面で使われますが、こんな言葉は使わなくてもけっこうです。知っていればいいのです。
動詞や形容詞は何でも「~ムニダ」になります。日本語の「です」と一緒です。疑問系の場合は「スムニカ?」「ハムニカ?」「イムニカ?」となります。

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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