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ふるさと納税 泉佐野市の乱

全国トップ135億円。破綻寸前から復活。泉佐野市に共感が集まることはなかろうが…

市川速水 朝日新聞編集委員

拡大大阪府泉佐野市の返礼品のカタログより

国の言うことを聞かない「要注意自治体」

 ふるさと納税の返礼品を寄付額の3割以下に。返礼品は地場産品に限る――。

 政府が2月8日、こんな地方税法改正案を閣議決定した。高額の返礼品を出し続け寄付額が突出する大阪府泉佐野市などいくつかの市町村を標的にしたものだ。

 「良識ある対応を」(菅義偉・官房長官)、「身勝手な考えだ」(石田真敏・総務相)と非難が続くなかでの国の強硬措置。この喧嘩自体は国がいったん勝つのだろうが、そもそも、住民税の徴収という人為的な仕組みに恣意的な制度と基準を設け、それまで奨励してきた「自治体の努力」に、またまた根拠の薄弱なブレーキをかける政府の方が理屈として成り立たない。

 法改正という強制力で黙らせようとする違和感に加え、今回の騒動は国と地方のバトルが形を変えて延々と続く素地も露呈させてしまった。

 「総務省ふるさと納税ポータルサイト」をのぞくと、2018年12月27日付の「トピックス」に、一種、不気味な表がある。

 「ふるさと納税に係る返礼品の送付状況について」というタイトルで、「返礼割合実質3割超の返礼品を送付している団体」52団体と「地場産品以外の返礼品を送付している団体」100団体がずらりと並んでいる。

 以前の調査結果に加え、その後の調査で新たに「判明」した市区町村は、赤字だったり下線が引かれたりしている。コメントがないので、これだけ見ても総務省が何をいいたいのか分からない。

 この「送付状況」には、なぜ「3割」なのか、その意味も、赤字の市町村がどれほど悪いのかも明記されていない。その前後の政府幹部発言や、冒頭の閣議決定という流れを踏まえて、やっと真意が分かるような仕組みになっているのだ。つまり「国の言うことを聞かない要注意自治体だ」と。

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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