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異文化マネージメントから読み解くゴーン事件・下

日産の経営・ガバナンスが直面した異文化マネージメント力の問題とは

酒井吉廣 中部大学経営情報学部教授

記者会見する日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者=2019年2月12日、横浜市の本社拡大記者会見する日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者=2019年2月12日、横浜市の本社

ルノーはゴーン逮捕の動きを知っていた?

 ゴーン・前日産会長がプライベートジェットで日本に着いた時点で逮捕されたことは、少なくとも彼が飛行機に乗った時から準備が始まっていたことを示唆している。日産の43%の株式を持つルノーは、その動きを察知できなかったのだろうか。

 一般的に、経営権を持つほどの大株主は役員とともに担当者も派遣する。また出資を受けた企業内には、大株主との関係を良くして出世など自身の立場の向上に繫(つな)げようとする職員がでてくる。これは古今東西に見られる「経験則」であり、大株主側はこうした投資先の社員との関係をも駆使してスムーズな経営を図る。クロスボーダーM&Aを行った日本企業の方は、多かれ少なかれ同様の経験をしているはずだ。

 ルノーもまた、通常の大株主として日産内の様々な部署、例えばゴーン前会長側近や、財務、コンプライアンス、監査、技術など各部門から個々に情報を得ていただろう。そのなかにはかなり早い段階から今回の逮捕に繋がるような情報もあったかもしれない。

 ここで再びゴーン逮捕の日の西川広人社長の記者会見をみてみよう。

 西川氏はゴーン会長を解任する理由について、(いつかは特定しなかったが)内部通報を監査役が吟味して今回の一件に至ったと述べている。クーデターというものは、一部の経営陣による秘密裏の行動なのが普通だが、日産の場合は社内のそれなりの数の人が知るなかでの行動だった可能性を意味する。そこには、ルノー側の人物が含まれていたことは十分予想される。

 やや大胆な想定をすると、ルノーは情報を入手しながら、この動きを止めなかったのではないか。

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筆者

酒井吉廣

酒井吉廣(さかい・よしひろ) 中部大学経営情報学部教授

1985年日本銀行入行。金融市場調節、大手行の海外拠点考査を担当の後、信用機構室調査役。2000年より米国野村証券シニア・エグゼクティブ・アドバイザー、日本政策投資銀行シニアエコノミスト。この間、2000年より米国AEI研究員、2002年よりCSIS非常勤研究員、2012年より青山学院大学院経済研究科講師、中国清華大学高級研究員。日米中の企業の顧問等も務める。ニューヨーク大学MBA、ボストン大学犯罪学修士。

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