山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在仏ジャーナリスト
元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
フランス政府を後ろ盾に登場したエリート。ルノーとの経営統合に日産はどう闘うか
カルロス・ゴーンの後任、ルノーのジャン=ドミニック・スナール新会長が2月中旬、来日した。「穏健資本主義」を標榜しながら、タイヤ大手ミシュランの社長時代には多数のリストラや工場閉鎖を敢行するなど、フランスでは“カッター・ゴーン”以上の手ごわい経営者との評判もある。しかも、マクロン大統領が経営手腕を絶賛するなど、フランス政府という強硬な後ろ盾がある。
日産は抵抗しているが、ゴーン同様に日産の会長職兼務を狙っているほか、日産・ルノーの経営統合も視野に入れているといわれる。
長身痩躯。伯爵の称号を持ち、父親のジャック・スナールはエジプトやオランダ、イタリアで大使を務めた大物外交官。100歳で健在だ。母親も侯爵家の出身と毛並は抜群。南仏には一家に伝わる城があり、ブドウ畑(18㌶)では自家製赤ワインも製造しているワイン通だ。経営者養成のエリート校、高等商業学校(HEC)卒。愛読書は英オックスフォード大学教授ペーター・フランコパンの「絹の新しい道」。
要するに、ゴーンとは肌合いの異なる仏の伝統的なエリートである。