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ゴーンより手ごわい?スナール・ルノー会長は何者

フランス政府を後ろ盾に登場したエリート。ルノーとの経営統合に日産はどう闘うか

山口 昌子 在フランス・ジャーナリスト

笑顔の会合の背後にひそむ真の狙い

仏ルノーの取締役会を受けて記者会見する日産の西川広人社長=2019年1月24日、横浜市西区拡大仏ルノーの取締役会を受けて記者会見する日産の西川広人社長=2019年1月24日、横浜市西区
 数日間の来日中は笑顔を絶やさず、日産と三菱の首脳との会合を重ね、3社によるアライアンス継続を中心に協議。日産の会長問題は「後刻協議」と逃げたが、スナール自身はもとより、フランス政府の最終目的はスナールの「日産会長就任」であり、日産とルノーの経営統合だといわれる。

 日産はルノーとの経営統合には強く反発しているが、ルノーは日産に43%を出資しており、議決権を持つ。日産のルノーへの出資は15%で議決権も持たない。日産としてはルノーとのアライアンスの関係は維持しながらも、なんとかルノーの影響力を削ぎたいところだ。ゴーン逮捕、解任の真意として、ルノーの統合要求を退けるためとの指摘があるゆえんだが、日産はどこまで抵抗できるか。

フランス国家の秘密兵器・ヴィアルも来日

 スナール来日に先立ち、1月中旬に“先遣隊”としてやってきたのが、ルノーの役員のマルタン・ヴィアル(65)だ。ただ、役員はむしろ口実で、実際は仏国家出資分担局(APE)の理事長としての来日だ。ルメール経済相の官房長エマニュエル・ムーランを従え、48時間の滞在中に日産の首脳陣はもとより、日本政府関係者とも会談した。

 ヴィアルは、APEのトップとして経済面での国際間の商業契約などの場合には、フランス代表として必ず登場する。そのためフランス国内では、“フランス国家の秘密兵器”とも呼ばれている。2017年3月21日にエリゼ宮(フランス大統領府)でのマクロン大統領、安倍晋三首相による日仏首脳会談後に調印された、三菱重工によるフランス原子力産業大手のアレバグループ新会社への増資に関する確認書簡にも、ヴィアルはフランス側の代表として署名している。

 この春に民営化が予定されていたシャルル・ドゴール国際空港の経営会社パリ空港(ADP)の完全民営化が1年延期されたのも、ヴィアルが民営化の時期として、「市場が極めて不安定だ」と反対したからといわれるほど、その影響力は絶大だ。マクロンとも個人的にも近く、夫人は国防相のフローランス・パルリだ。

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在フランス・ジャーナリスト

産経新聞パリ支局長を1990年から2011年までつとめる。著書に『ドゴールのいるフランス』(河出書房新社)、『フランス人の不思議な頭の中』(KADOKAWA)、『原発大国フランスからの警告』(ワニブックスPLUS新書)、『フランス流テロとの戦い方』(ワニブックスPLUS新書)、『ココ・シャネルの真実』(講談社+α新書)、『パリの福澤諭吉』(中央公論新社)など。ボーン・上田記念国際記者賞、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受賞。

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