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クリーンエネルギーで世界に遅れる日本

日本は世界とのギャップを埋めることが急務だ

平沼光 東京財団政策研究所 研究員

再エネの選択肢を広げた浮体式洋上風力発電

 再エネのあらたな発電方法の社会実装も進んでいる。これまで風力発電は陸上に設置する陸上風力と海底に基礎を築いて設置する着床式洋上風力発電の二種類が選択肢であったが、あらたな選択肢として海上に風車を浮かべて発電する浮体式洋上風力発電の実装が実現している。

 再エネの大幅普及を目指すにはさらなる再エネの可能性を発掘する必要があり、中でも注目されているのが洋上風力発電である。陸上風力の設置場所が飽和状態に近づきつつある中、設置面積や景観の制約が少なく、陸上に比べて風況のよい洋上は風力発電の次のステージと期待されているのだ。しかし、洋上風力資源のおよそ8割が水深が深く海底に基礎を築くことが出来ない海上にあり、洋上風力のポテンシャルを活かすことは困難であった。

拡大デンマークのアンホルト洋上風力発電所=2017年1月

 そうした中、ノルウェーに本拠を置く北欧最大のエネルギー企業であるエクイノール社(Equinor)と再エネ事業やスマートシティ事業を手掛けるアラブ首長国連邦(UAE)・アブダビのマスダール社(Masdar)との事業提携により、風車を海上に浮かべて発電を行う浮体式の洋上風力発電所「Hywind Scotland」の商業運転が2017年10月18日から開始されている。「Hywind Scotland」はスコットランドの沖合25kmの地点に、出力6MWの浮体式の洋上風力発電を5基設置した発電所で、イギリスの約2万世帯への電力供給を可能とする大規模な浮体式洋上風力発電を実用化した世界初の事例である。

 浮体式であれば水深が深い場所でも発電が可能になり洋上風力のポテンシャルを活かすことに有効である。エクイノール社によれば、2017年11月から2018年1月までの3か月間における「Hywind Scotland」の設備稼働率は約65%という好成績を記録したとのことだ。

 この間、「Hywind Scotland」はハリケーン「オフィーリア」(風速125km/h)、ハリケーン「キャロライン」(風速160km/h)という2つの大型ハリケーンの直撃にも耐えたと発表している。

 エクイノール社とマスダール社は、浮体式洋上風力発電の商業化の成功により、浮体式洋上風力発電の電力コストを2030年までに価格競争力のある0.04~0.06€/kWhに引き下げることも目指しており、コスト的にも更なる社会実装化が期待できる。

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筆者

平沼光

平沼光(ひらぬま・ひかる) 東京財団政策研究所 研究員

1966年生まれ。日産自動車株式会社勤務を経て、2000年より現職。研究員として資源エネルギー政策の研究を担当する。 内閣府 日本学術会議 東日本大震災復興支援委員会 エネルギー供給問題検討分科会委員、福島県再生可能エネルギー導入推進連絡会系統連系専門部会委員を歴任するほか、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 低炭素社会戦略センター特任研究員も務める。著書に『日本は世界1位の金属資源大国』(講談社+α新書)、『日本は世界一の環境エネルギー大国』(講談社+α新書)など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです