市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員
1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
最終回「始まりの終わり」にあたって
ヨロブン、アンニョンハセヨ!
足かけ7カ月、計29時間分の「にわかん」、いかがだったでしょうか? 「26回なのに、なぜ29時間なのか」という、いじわるでまっとうな問い合わせもいただきましたので、少し釈明します。
第5週でご紹介したハングルの子音と母音の組み合わせを覚えて書けるまでになるのは、さすがに1時間では終わらないでしょう。それと、助詞の形、動詞や形容詞の活用で複雑な例外があるのも難関です(第15週、第16週ご参照)。さらに副詞や語尾や丁寧語も身につくためには少し時間がかかるかもしれません(第17週、第22週など)。
でも、1話、丸ごと「寄り道」みたいで、学ぶことがほとんどない回もありました。26時間に5時間プラスして2時間マイナスで差し引きして29時間分です!
大雑把すぎるって? はい。そんなものです。
そもそも短時間に超特急で身に付けるのが目的なので、もし真面目にやってこられた方が「本当は35時間かかった」など具体的なデータなどあれば、ぜひ編集部にお知らせください。いつか改訂版をつくるようなことがあれば大いに参考にさせていただきます。
まだ習っていない大切なこと、いずれ習うべきことはもちろんたくさんあります。
初回に書いたように、この本の第一の目的は、外国語だから、ハングルが妙な形をしているから、という理由で難しく構えていた人に、「な~んだ」と抵抗感を薄めて安心してもらうことにあります。
第二の目的が、いま述べた「スピード感」です。
三つ目の目的は、東アジアの中での日韓の相互理解を深めることです。私見ですが、義務教育のどこかで韓国語を少し学んだらいいのではないかと思っています。もちろん、グローバル化に伴って世界の多くの人たちと話す言葉を選ぶとすれば、まず英語、次に中国語でしょう。
韓国語は南北朝鮮と、在日をはじめとする在外コリアンしか使いません。それでも数千万人に上りますし、日常のすぐ隣に朝鮮語使いがいます。隣国の言葉であり、言葉を通した文化への理解が深まります。それは韓国のことを好きとか嫌いということとは関係がありません。韓国語を学び、話してみると、その反射的な作用で日本や日本語への理解や関心もずっと深まると思うからです。
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