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危機的な世界で「不可欠な存在」になるために・上

国際協力NGOの現在と日本のNGOが抱える課題を考える

堀江由美子 公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシーマネージャー

自問の末に立ち上げた「NGO2030」

 ワシントンでの「学び」は強烈だった。私を含めて訪米団に参加したNGOの代表者やシニアスタッフは帰国後、「自分たち日本のNGOははたして開発・人道支援における戦略的パートナーになり得ているのか?」という自問を繰り返した。

シンポジウムで発表する「NGO2030」のメンバーで、 ジャパン・プラットフォーム共同代表/CWS Japan 事務局長の小美野剛氏(右)=2019年3月1日拡大シンポジウムで発表する「NGO2030」のメンバーで、 ジャパン・プラットフォーム共同代表/CWS Japan 事務局長の小美野剛氏(右)=2019年3月1日
 日本の国際協力NGOが、開発・人道支援における主要なアクターそしてパートナーとして、政府をはじめとするステークホルダーから認識されるようになるためにはどうすればいいか。まずは議論から始めよう。そんな思いから、立ち上げたのが「NGO2030」であった。

 強力な“援軍”もできた。訪米団に参加した国会議員が中心となって発足した「NGO・NPO の戦略的あり方を検討する議員連盟」である。2018年6月には、シンポジウム「開発援助・人道支援における戦略的パートナーとしての NGO」を開き、アメリカの経験を参考に、NGO と政府に何ができるか議論をおこない、ODAの改革やNGOとの連携促進、能力強化などについて外務省に提言した。

 日本のNGO自身が自らを変革する必要がある考えた私たちは、2030年に向けて目指すべき方向性、あるべき姿を指針としてまとめることにした。外務省のNGO能力強化策の一環である「NGO研究会」の事業として提案したところ、前向きに受け入れられ、外務省の委託事業として活動がスタートした。

2030年に向け目指すべき方向をまとめる

 外務省とNGOはこれまでも、「NGO・外務省定期協議会」でODAやNGOとの連携に関して対話してきたが、長期的な視点からNGOのあり方を議論することはあまりなかったように思う。この活動が、NGO間の、さらに外務省やその他ステークホルダーとの議論につながればとの期待が膨らんだ。

コンサルテーションではNGOに対 する様々な意⾒が出された=2018年6月22日拡大コンサルテーションではNGOに対 する様々な意⾒が出された=2018年6月22日
 NGOを取り巻く環境の変化を理解するため、世界の動向や援助セクターに関わる国内外の潮流について書かれた文献や資料を読み込み、レポートをまとめた。さらに、これをもとに、NGO、政府、企業、学術界、国際機関、国会議員、大学生など多様なステークホルダーに対し、2030年に向けた日本のNGOの役割や課題についてのコンサルテーションを実施した。

 コンサルテーションの結果はどうだったか。NGOに対する高い期待は示されたものの、専門性や提案力、発信力などの面が弱いこと、国際社会および日本社会の中で存在感が薄いこと、などが指摘された。これをもとに、日本の国際協力NGOが目指すべき大きな方向性、あるべき姿の指針をまとめ、3月1日に成果発表のシンポジウムを行った。

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筆者

堀江由美子

堀江由美子(ほりえ・ゆみこ) 公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシーマネージャー

共同通信社に勤務後、英国イーストアングリア大学院で農村開発修士号取得。1999年より(特活)国際ボランティアセンター山形でカンボジア農村開発事業に従事し、2002年にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン入局。海外事業部、法人連携部を経て、2010年より子どもの権利実現の観点から国際保健、栄養、持続可能な開発目標(SDGs)、人道危機、子どもの権利とビジネスなどの政策提言に関わる。共著に『ミレニアム開発目標:世界から貧しさをなくす8つの方法』(合同出版)

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです