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中島岳志の「自民党を読む」(7)菅義偉

官邸主導政治を束ね安倍内閣を仕切る高圧的な官房長官は「冷徹なポピュリスト」だ

中島岳志 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

拡大記者会見で質問に答える菅義偉官房長官=2019年1月16日、首相官邸

冷徹なポピュリスト

 「笑わない官房長官」「最強参謀」「影の総理」――。

 様々な呼び名を与えられる菅義偉・官房長官。官邸主導政治のグリップを握り、安倍内閣の運営に、決定的な影響力を保持しています。

 一方で、テレビに映し出される記者会見での高圧的な姿には、これまで度々、厳しい批判が投げかけられてきました。

 最近では東京新聞社会部の望月衣塑子記者を指すとみられる「特定の記者」が、定例会見で「問題行為」を行っているとして、記者クラブに対して「問題意識の共有」を求める文書を送っています。これは「恫喝」や「排除」に当たるとして、日本新聞労働組合連合(新聞労連)や日本ジャーナリスト会議が抗議声明を出し、問題になりました。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設作業について、「粛々と進める」とくり返し述べたことで、沖縄から「上から目線」との反発を招き、「不快な思いを与えたということであれば、使うべきじゃない」と表明するまでに追い込まれました。

 しかし、一方で大衆の欲望には敏感で、後で述べるように、返礼品が手に入る「ふるさと納税」や沖縄へのUSJ(ユニバーサルスタジオ・ジャパン)・ディズニーランド誘致、さらにNHK基本料金値下げや携帯電話料金値下げなど、ポピュリズム的政策を打ち出すことを得意としています。読売新聞朝刊で連載中の「人生案内」には必ず目を通し、市井の動きや感情に、常に目を光らせていると言います。

 菅義偉という政治家は、いかなる考えの持ち主なのか? どのようなヴィジョンを抱いているのか? 

 菅さんの著書(『政治家の覚悟-官僚を動かせ』文藝春秋企画出版部、2012年)やインタビュー、論考などを追いながら、その実像に迫りたいと思います。

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筆者

中島岳志

中島岳志(なかじま・たけし) 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学でヒンディー語を専攻。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科でインド政治を研究し、2002年に『ヒンドゥー・ナショナリズム』(中公新書ラクレ)を出版。また、近代における日本とアジアの関わりを研究し、2005年『中村屋のボース』(白水社)を出版。大仏次郎論壇賞、アジア太平洋賞大賞を受賞する。学術博士(地域研究)。著書に『ナショナリズムと宗教』(春風社)、『パール判事』(白水社)、『秋葉原事件』(朝日新聞出版)、『「リベラル保守」宣言』(新潮社)、『血盟団事件』(文藝春秋)、『岩波茂雄』(岩波書店)、『アジア主義』(潮出版)、『下中彌三郎』(平凡社)、『親鸞と日本主義』(新潮選書)、『保守と立憲』(スタンドブックス)、『超国家主義』(筑摩書房)などがある。北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現在、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。

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