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中島岳志の「自民党を読む」(7)菅義偉

官邸主導政治を束ね安倍内閣を仕切る高圧的な官房長官は「冷徹なポピュリスト」だ

中島岳志 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

地元有力者の父親に反発、秋田から上京

 まずは、簡単にその足跡を振り返っておきたいと思います。

 若き日の菅さんを語る際に、よく語られるのが「たたき上げ」「苦労人」というキーワードです。彼は世襲議員ではなく、地方から上京し、裸一貫で国会議員になった経歴をもっています。

 秋田県雄勝郡秋ノ宮村(現在の湯沢市秋ノ宮)の農家の長男として生まれた菅さんは、比較的裕福な家庭に育ちます。父は「秋の宮いちご」のブランド化に成功したことで地元有力者となり、雄勝町議会議員や湯沢市いちご生産集出荷組合会長などを務めました。

 菅さんは、存在感の大きな父に反発し、高校卒業後、農家を継ぐことなく上京します。

拡大釣りキチ三平の大型陶板レリーフの前で麦わら帽子姿で写真撮影に応じる菅義偉官房長官=2016年10月2日、秋田空港

 最初にはじめたのが板橋区の段ボール工場での住み込みの仕事。「東京に出さえすれば、将来の展望が開ける」と思っていたものの、現実は厳しく、「ここで一生を終わるのかと思うと暗澹とした気持ちになった」と言います。(豊田正義「根性を忘れた日本人へ(3)世襲禁止を目指す"反骨漢" 衆議院議員・菅義偉」『新潮45』2009年5月)

 大学に入って人生を変えようと考え、段ボール工場を辞めます。築地市場でアルバイトに従事しながら、学費が安かった法政大学に入学。卒業後、衆議院議員・小此木彦三郎さんの秘書となり、政治の世界に足を踏み入れました。

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筆者

中島岳志

中島岳志(なかじま・たけし) 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

1975年、大阪生まれ。大阪外国語大学でヒンディー語を専攻。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科でインド政治を研究し、2002年に『ヒンドゥー・ナショナリズム』(中公新書ラクレ)を出版。また、近代における日本とアジアの関わりを研究し、2005年『中村屋のボース』(白水社)を出版。大仏次郎論壇賞、アジア太平洋賞大賞を受賞する。学術博士(地域研究)。著書に『ナショナリズムと宗教』(春風社)、『パール判事』(白水社)、『秋葉原事件』(朝日新聞出版)、『「リベラル保守」宣言』(新潮社)、『血盟団事件』(文藝春秋)、『岩波茂雄』(岩波書店)、『アジア主義』(潮出版)、『下中彌三郎』(平凡社)、『親鸞と日本主義』(新潮選書)、『保守と立憲』(スタンドブックス)、『超国家主義』(筑摩書房)などがある。北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現在、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。

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