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米朝不調、よみがえるか「6者協議」

陰の主役は中国だった。舞台は日米中ロ南北の思惑が入り乱れる12年前の枠組みへ?

市川速水 朝日新聞編集委員

拡大2019年2月27日夜、ハノイでの夕食会に出席したトランプ氏(右)と金正恩氏=労働新聞ホームページから
 2月末の米朝首脳会談は、物別れに終わった。

 首脳会談には失敗はない、事前交渉を追認し、友情を確認し、合意文書に署名し、華々しく成果を誇るという「外交の常識」が崩れたという意味で、現代史に残る出来事かもしれない。

 トランプ、金正恩(キム・ジョンウン)両首脳の目論見が外れた理由は様々なメディアが分析しているが、最大の焦点は、これからどうなるのかだ。

 昨年6月の第1回会談との比較や今回の断片的な肉声を通じて占うと、結論として考えられるのは「6者協議の復活」の可能性が膨らんできたことだ。

米朝とも成功を演出したかったのに…

 前回の米朝首脳会談後、私は「『席順』で読み解く米朝首脳会談」と題する論を書いた。拡大会合の席順で、両首脳の隣にそれぞれ金英哲(キム・ヨンチョル)・朝鮮労働党副委員長とポンペイオ国務長官を座らせたことを、「ささやき合える相棒」とみなし、相手の変化球にいつでも対応できる態勢を整えていたとみていた。

 また、いつもけんか腰で相手国に罵詈雑言を浴びせる役の李容浩(リ・ヨンホ)外相とボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)がその外側に座り、にらみをきかせていた。

 今回もこのプレーヤー全員が参加し、金英哲、ポンペイオ両氏という最側近を隣に座らせたことに違いはなかった。一方で、李、ボルトン両氏が会議場で向かい合うことはなく、一番離れた対角線に座った。事前、事後にも相手を刺激するような目立った発言はなかった。

拡大2019年2月27日夜、ハノイでの夕食会で歓談するトランプ大統領や金正恩氏ら=労働新聞ホームページから

 長年の敵同士が半身になって向かい合った1回目と比べて、実務的な交渉に入るという、ある意味、緊張感のほどけた、なごやかな雰囲気で始まったのは間違いないし、会談前の両首脳の表情も昨年とは違って明るかった。

 ただ、その緊張感の欠如が互いを甘く見てそれぞれ高いハードルを設定することにつながり、何とか曲がりなりにも成功したと見せかけたい、という形すら繕えない結果に終わった原因だったとも言える。

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筆者

市川速水

市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員

1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。

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