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韓国の美容室は近所のことを何でも知っている!

異文化を受け入れる秘訣は「心の余裕」です

藏重優姫 韓国舞踊講師、日本語講師

韓国の美容室は近所のことを何でも知っている

 住宅街で且つアパートにくっついて経営している美容室は大抵、女の人が美容師さん兼主人で、ほぼ一人で回しているのが一般的です。

 ある時、私が髪を切ってもらっていると、美容室の前を通りがかった人が、「今から、そこのスーパーに行ってくるのよ。明日、夫の親戚たちが田舎から来るから大変なの~」とわざわざ報告していきます。

 またある時は、おばさんがフラ~っと入ってきて、美容室の洗濯された山と積まれたタオルを畳みながら雑談し、そして「またね~」と言って出ていく。店の主人も「は~い、ありがとう。また~!」

 またある時は、別のおばさんが入ってきて、ソファにデカッと座る。髪を切ってくれ等、何にも言わないから、予約の人かなと思っていると、主人が「コーヒーでも飲んだら?」と聞く。「うん」と言って、自分でコーヒーを入れ、それから世間話が一時間。髪は切りません。

 一番口が空いたのは、フラ~っと店内に入ってきて「コーヒー、飲むね~」と言って、自分で作って飲んでそのまま帰って行きました。その間5分。まるで自分家のキッチンです。

拡大美容師さん兼オーナー。この愛想が良く、可愛い笑顔にみんなついつい心を許してなんでも話してしまうのか。
 ここの美容室だけでなく他の美容室でも似たり寄ったりのようです。私の知り合いの日本人のオンニ(언니:お姉さん)は、「宅配を下の美容室に預かってもらっているの」と言っていました。こんな付き合い方もあるんですね。

 私は最近、この不思議な美容室文化にハマっています。

 色んな人が出入りするところですから、色んな会話が聞けるのも面白いところです。パートナーの愚痴、息子の自慢、スーパーの安売り事情、どこどこのアパートの再開発が始まる、〇〇ちゃんはどこどこの高校に首席で入学した、などなど色んな話が飛び交っています。

 まさに近所情報の宝庫。美容師さんが「近所の人のことは何でも知っている!」と言うので、私もちょっと探りを入れてみました。

 「私は日本から来て、4年生と7歳の子どもがいるんですよ」

 あまり驚きもせず「ここのアパートに住む〇〇ちゃんが、4年生だからあんたとこの子どももその子と知り合いじゃない?」と、正確な情報を被せてきます。まあ、私の韓国語の発音は完ぺきではないので、現地の韓国人と違うことは気づいていたはずです。しかも、アパートに「日本人」は私だけ。多分とっくに私の正体はバレていたんでしょうね。

 今では、お昼時に髪を切りに行くと、「一緒に昼ご飯を食べよう!」とジャジャン麵(黒くて甘めのソースのかかった汁の無い麵料理)をご馳走してくれます。

拡大ジャジャン麵

 ただ、その昔、私はこの人間関係がとても苦手だったのです。

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筆者

藏重優姫

藏重優姫(くらしげ・うひ) 韓国舞踊講師、日本語講師

日本人の父と在日コリアン2世の間に生まれる。3歳からバレエ、10歳から韓国舞踊を始め、現在は韓国にて「多文化家庭」の子どもを中心に韓国舞踊を教えている。大阪教育大学在学中、韓国舞踊にさらに没頭し、韓国留学を決意する。政府招請奨学生としてソウル大学教育学部修士課程にて教育人類学を専攻する傍ら、韓国で舞台活動を行う。現在、韓国在住。日々の生活は、二児の子育て、日本語講師、多文化家庭バドミントンクラブの雑用係、韓国舞踊の先生と、キリキリ舞いの生活である。

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