メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

無料

危機的な世界で「不可欠な存在」になるために・下

日本の国際協力NGOが目指すべき方向性と行動について考える

柴田裕子 特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)緊急対応部部長

NGOとは何者か、認知の低さを痛感した経験

 当時、私は所属していた団体(今とは別の団体)が実施した被災者支援の一貫で、現地に何度も足を運んだ。その団体がどういう事業をするか決めるため、避難所や被災した漁協などを訪問し、聞き取り調査を行っていたときのことだ。「なぜ、支援をしてくれるの?」「支援っていっても、後で見返りとか、返金を求められたりするのか?」と多くの人から聞かれた。衝撃だった。

 NGOとは一体何者なのか? 本当に信頼できる人たちなのか?――

 問いの端々に、そうした疑問が垣間見えた。日本ではNGOという存在の意義がいかに認知されていないかを、あらためて思い知った。

 支援活動をしている最中も、地元の人たちから、「仕事は何しているの?」「こんなに被災地に通っていて、生活は大丈夫なの?」と心配された。NGOはれっきとした仕事である。ボランティアではなく、日々仕事として支援活動に従事している。そうした事実を理解してもらえない経験を少なからずした。

NGOとの関わり方がわからない

西日本豪雨災害では米国国際開発庁(USAID/OFDA)、加盟団体(PWJ)と連携して調査を実施@ジャパン・プラットフォーム拡大西日本豪雨災害では米国国際開発庁(USAID/OFDA)、加盟団体(PWJ)と連携して調査を実施@ジャパン・プラットフォーム
 未曽有の災害となった東日本大震災では、多くのNGO・NPOが現地に駆けつけ、支援活動に携わったこともあり、その認知度は震災前と比べて大きく上がったとも言われている。確かに、それまで寄付といえば、日本赤十字社や国連機関のユニセフに出すものと認識されていたのが、NGOもまた、一般の方や企業から寄付を託される対象になった。

 たとえば発災直後からに現地に出動したジャパン・プラットフォームには、企業や個人の方々から総額70億円を超えるご寄付をお寄せいただき、その後も地元に根差した支援を継続できている。私自身、これまでの活動を通して、政府や一般の人々のNGO・NPOに対する認識が変化していると実感している。

 とはいえ、まだまだ十分ではない。昨年7月、西日本における平成30年度7月豪雨災害の直後、甚大な被害を受けた愛媛県に入った私は、県庁や市町村の担当者から、「いろいろなNPOが情報を聞きに来るが、どのNPOを信用していいか分からない」と聞かれることがあった。地元の住民の中には、「信用できないNPOもいるんでしょう?」と半信半疑の方もいた。NGO・NPOという名称は聞いたことがあるが、何をしているのかよく分からないし、どう付き合ったらいいのか分からない、という向きは、依然根強い。


筆者

柴田裕子

柴田裕子(しばた・ゆうこ) 特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)緊急対応部部長

企業での勤務経験を経て、2003年にピースウィンズ・ジャパン(PWJ)に入る。アフガニスタン事務所において、水・衛生、女性のエンパワメント、農業、収入向上など様々な事業を担当。その後、イラク、シエラレオネ、リベリア、南スーダン、スリランカ、東ティモールなどにおける人道・開発支援、パキスタン、ハイチ、東日本大震災など、国内外の災害支援に従事する。2012年3月にジャパン・プラットフォーム(JPF)に入り、海外事業部長として海外での人道支援への助成事業を統括し、外務省、アカデミアなどの各アクターとの連携調整、海外の支援団体との連携や、助成ガイドライン策定に関わる。2017年4月より現職。国内外の緊急支援を統括する。