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危機的な世界で「不可欠な存在」になるために・下

日本の国際協力NGOが目指すべき方向性と行動について考える

柴田裕子 特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)緊急対応部部長

 Atstock Productions/shutterstock.com拡大Atstock Productions/shutterstock.com

NGOが最終的に目指す世界と現実

 私たちNGO職員が究極的に目指しているのは、NGOの存在が必要ではない世界だ。世界から難民がいなくなる。頻発する災害で困窮する人がいなくなる。そうなれば、国際協力NGOも当然、必要なくなる。だが、理想は理想、現実はそうではない。

 紛争から逃れ難民となる人々、災害により家を失う人々、生活に窮する人々の数は増える一方だ。「危機的な世界で『不可欠な存在』になるために・上」で述べているように、世界はいまや、「戦後最悪の人道危機」にあるともいわれている。残念ながら、NGOが必要ではない世界とは程遠い。

ケニアにおける加盟団体の給水事業を視察する筆者©ジャパン・プラットフォーム拡大ケニアにおける加盟団体の給水事業を視察する筆者©ジャパン・プラットフォーム
 私がNGOに関わるようになって15年以上がたつ。もともとは企業で働いていたのだが、もっと社会のため、人のために役立つことを仕事にしたいと思いたち、アメリカに留学し、この“業界”に飛び込んだ。アフガニスタンでの駐在経験を皮切りに、シエラレオネやイラク、南スーダン、パキスタン、ハイチなどで人道支援や地震対応などを経験した。

 初めて駐在したアフガニスタンでは、難民として長年イランやパキスタンに逃れていた人々の帰還を支援した。難民となることの過酷さを直接耳にして、衝撃を受けたこともしばしばだった。現地で雇った職員たちも、少なからず紛争の影響を受けていて、ほぼ全員が家族や友人を亡くしたり、自身が難民となったりした経験を持っていた。平和な国からきた私が彼らの信頼を得ることができるのかと真剣に迷った。

 当時、アフガニスタンはまだ内戦の直後で、復興に向けた希望がほの見えた時期であった。しかしながら現在、アフガニスタンは再び内戦状態に陥り、治安の悪化も著しい。復興の難しさをつくづく思う。


筆者

柴田裕子

柴田裕子(しばた・ゆうこ) 特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)緊急対応部部長

企業での勤務経験を経て、2003年にピースウィンズ・ジャパン(PWJ)に入る。アフガニスタン事務所において、水・衛生、女性のエンパワメント、農業、収入向上など様々な事業を担当。その後、イラク、シエラレオネ、リベリア、南スーダン、スリランカ、東ティモールなどにおける人道・開発支援、パキスタン、ハイチ、東日本大震災など、国内外の災害支援に従事する。2012年3月にジャパン・プラットフォーム(JPF)に入り、海外事業部長として海外での人道支援への助成事業を統括し、外務省、アカデミアなどの各アクターとの連携調整、海外の支援団体との連携や、助成ガイドライン策定に関わる。2017年4月より現職。国内外の緊急支援を統括する。