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米朝会談決裂から見えたトランプ氏の深刻な状況

2度目の会談はなぜ失敗したのか? 再選に向けトランプ大統領が抱える幾つもの課題

中林美恵子 早稲田大学教授

トランプ氏の思惑を打ち砕いた下院の公聴会

米議会下院の公聴会で証言するトランプ大統領の元顧問弁護士、マイケル・コーエン被告(中央)=2019年2月27日、ワシントン拡大米議会下院の公聴会で証言するトランプ大統領の元顧問弁護士、マイケル・コーエン被告(中央)=2019年2月27日、ワシントン
 周辺の政策のプロたちは大統領のこうした姿勢に懸念を示していましたが、トランプ氏本人は米朝会談でそこそこの成果を挙げれば、アメリカ国民は前回の会談同様、喝采してくれるはずと考えていたのでしょう。

 そうした思惑を打ち砕いたのが、米朝首脳会談初日の2月27日に米下院で行われたトランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン氏の公聴会でした。

 コーエン氏はマスコミも入る公開の場でロシアゲートをはじめとするトランプ氏の違法行為の可能性を具体的に証言、アメリカ国民に大きな衝撃を与えました。民主党の狙いどおりテレビは朝から晩まで公聴会のニュースを流し、新聞も大々的に報じました。世間の関心はそちらに向かい、米朝会談がトップニュースを飾れなかったのは、トランプ氏にすれば誤算です。

下院で主導権を握った民主党の逆襲

 なぜ、こんな事態になったのか?

 要因のひとつは、前回と今回の米朝首脳会談の間に行われた中間選挙(11月6日)で、下院の多数を野党・民主党が占めたことです。下院の主導権を握った民主党は公聴会を米朝会談にぶつけ、世論を引きつけることに成功しました。

 国内政治が行き詰まると、大統領の専権事項である外交や安全保障で挽回するというのが、中間選挙までのトランプ氏の手法でした。前回の米朝首脳会談はその格好の例でしたが、今回の米朝会談で明らかになったのは、外交であっても議会と無縁でいられない現実でした。権力チェックの大きなエンジンを議会が握った。そのエンジンの大きさにトランプ氏は事前に気がつきませんでした。

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筆者

中林美恵子

中林美恵子(なかばやし・みえこ) 早稲田大学教授

早稲田大学教授。米マンスフィールド財団名誉フェロー。大阪大学博士(国際公共政策)、米ワシントン州立大学修士(政治学)。元衆議院議員。経済産業研究所研究員や財務省財政制度等審議会委員など歴任。米国在住14 年のうち 10 年間は米連邦議会上院予算委員会の連邦公務員(共和党)として国家予算編成を担う。跡見学園女子大学准教授、米ジョンズ・ホプキンス大学客員スカラー、中国人民大学招聘教授等を経て現職。『トランプ大統領はどんな人?』『トランプ大統領とアメリカ議会』『『グローバル人材になれる女性(ひと)のシンプルな習慣』『オバマのアメリカ・どうする日本』(共編著)等多数。