メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

[39]それでも日本人の韓国旅行人気は衰えない

伊東順子 フリーライター・翻訳業

2018年平昌(ピョンチャン)五輪のスピードスケート女子500メートルで優勝した小平奈緒選手(右)と2位になった李相花選手のウィニングランは、悪化する一方の日韓関係の「いい話」として話題になった拡大2018年平昌(ピョンチャン)五輪のスピードスケート女子500メートルで優勝した小平奈緒選手(右)と2位の李相花選手の友情は、大きな話題になった

昨年末も渡航者数第1位

 日韓の政治外交関係は、その後も「最悪」が日々更新されている状態だという。2月の外相会談でも「言った、言わない」の攻防。ここまで信頼関係が崩れるというのは由々しきことなのだろう。日本のワイドショーではコメンテーターの皆さんが、韓国に対してとても怒っているらしく、インターネットにもそれが流れてきて心が痛む。テレビ局がこういう意見を好んでいるのを見ると、同調する視聴者が多いのだろう。日本は過去最高の「嫌韓ムード」なのかもしれない。

 しかし、旅行業界ではこれとは真逆の現象が起きている。すでに訪日外国人の中で韓国人がトップなのはよく知られているが、逆も正なり。訪韓も大人気なのである。旅行業界最大手であるJTB総合研究所が、2月12日に更新したデータによれば、昨年12月の日本の海外渡航者の行き先は次のような順位となっている。

国・地域/入国者数/前年度比
韓国/258,521/+33.5%
台湾/200,098/+6.7%
タイ/153,989/+11.4%
ハワイ/131,009/+4.7%
香港/126,195/+15.2%

 ここで見る限り、韓国が最大人気国であり、冬休み旅行の定番と言われてきたハワイをダブルスコアで引き離している。さらに注目すべきは前年度比。韓国は33.5%増と他国・地域を大きく引き離している。また、渡航者数だけでなく、ガイドブックを刊行する出版社でも同じような意見が聞かれる。

 「韓国、いいですよ。最近は少しずつ若い人が海外旅行に戻りはじめているのですが、そんな若年層には韓国が一番人気です」

 ちなみに2018年に約300万人の日本人が渡韓しているが、これは2015年に200万人を割り込んだ時からのV字回復。2015年は韓国国内にMERS(メルス・中東呼吸器症候群)の感染が広がった年で、日本人を含む外国人観光客の多くが韓国旅行をキャンセルした。

渡韓人数と前年比
2015年 1,837,782 -19.4%
2016年 2,297,893 +25.0%
2017年 2,311,447 +0.6%
2018年 2,948,527 +27.6%

 翌2016年は朴槿恵大統領の弾劾を求める大規模な市民集会が繰り広げられ、2017年は北朝鮮のミサイル実験が繰り返され、そして2018年には徴用工裁判の最高裁判決が出た。こうして見ると、北朝鮮問題は多少の影響があるとはいえ、日韓関係については政治的対立は観光客の動きにあまり影響を与えなくなっているといえる。「日韓関係は過去最悪」といわれる2018年に、これだけ多くの日本人が韓国に遊びに行っているのだ。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『もう日本を気にしなくなった韓国人』(洋泉社新書y)、『ピビンバの国の女性たち』(講談社文庫)等。

伊東順子の記事

もっと見る