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災害大国・日本を救う「減災サステナブル」とは

東日本大震災から8年。日本の災害対応能力は向上したのか?(1)

阿久津幸彦 立憲民主党衆議院議員(比例東北ブロック)

津波のときにだけ現れる防潮堤

浅沼 たとえば津波対策として、日常的には水の中に沈んでいる折りたたまれた物が、津波の力や水の動きを利用して自力で広がりながら浮き上がって津波を抑止する、ということが可能だと考え研究中です。高い防潮堤をつくるという考えもありますが、コンクリートは脆弱(ぜいじゃく)です。この方法だと、材料は軽くて強く、構造的にも問題がないうえ、そのシステムを利用した波力発電まで可能で、経済的にも期待できます。

宮城県東松島市野蒜海岸の防潮堤拡大宮城県東松島市野蒜海岸の防潮堤

阿久津 津波が発生したときにだけ、防潮堤が現れるというのはおもしろいですね。以前、浅沼先生と一緒に宮城県東松島市の野蒜海岸を視察した際、建設中の約7メートルもの防潮堤を目の当たりにして、海が見えないことに不安を感じました。命を守るうえでは重要な対策だとは思いますが、防潮堤の建設をめぐっては、津波被害を受けた沿岸各地でもさまざまな議論があります。異なる意見を持つ住民同士が分断されたり、復興の遅れをもたらしたりしたとも言われています。

 先生の「減災サステナブル」構想は、そうした東日本大震災での教訓を踏まえたうえで、災害時の課題を乗り越えていこうというものですが、浮き上がる防潮堤もそのひとつですね。他にはどうでしょうか。

素晴らしいフラップゲート式水害対策設備

日立造船のフラップゲート拡大日立造船のフラップゲート

浅沼 日立造船の「フラップゲート式水害対策設備」は素晴らしいと思います。平時には倒れている扉状の構造物が、津波や高潮が発生した際に、自らの浮力で立ち上がり、防波する仕組みです。水中ばかりでなく地上に設置することも可能で、敷地のフェンス前や建物の玄関や地下鉄入口の階段前に設置するタイプも製品化されており、洪水なども含めた様々な状況にあわせた対応ができます。

阿久津 水位の上昇に比例して構造物がせり上がれば、津波や高潮を防ぐことができますね。そのせり上がりの作動は人力でないと難しいでしょうか。先生もご存じのとおり、東日本大震災では、水門を閉めるために勇気ある消防団の方々が命を落とすなど多くの悲劇が見られました。

浅沼 構造物の高さには限界があるため、様々な状況に対応すべく検討中ですが、構想的には、動力を伴わないため人力には頼りません。

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筆者

阿久津幸彦

阿久津幸彦(あくつ・ゆきひこ) 立憲民主党衆議院議員(比例東北ブロック)

1956年生まれ。衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会理事。立憲民主党 役員室長、震災復興対策本部事務総長。内閣総理大臣補佐官、内閣府大臣政務官(防災・復興担当)などを歴任し、東日本大震災では、政府現地対策本部長代行、宮城現地対策本部責任者として陣頭指揮をとった。その後も被災地復興をライフワークに。元・緊急人道支援の国際NGO ジャパン・プラットフォーム(JPF)国内事業部長 兼 東北事務所長。元・硫黄島遺骨帰還特命チームリーダー。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです