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大阪入れ替わりダブル選挙 有権者はここを見よ

実は大阪都構想の実現につながらないダブル選挙。有権者が判断材料にするべきは……

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士

大阪都構想はなぜ頓挫しているのか

 では、そのように一定の意義があると思われる大阪都構想が頓挫し続けているのは、なぜでしょうか?

 私は、「府(県)と県庁所在地である政令市との役割分担の見直し」が必要であるとしても、どのように見直すか、どんな制度をつくるかについては、それこそさまざまな意見があり、それぞれから賛否がでるのは当然だからだと考えます。

 さまざまな意見や賛否を集約し、ひとつの案にするには民主的な手続きが必要です。特別区を設置する手続きとしては、2012年に「大都市地域における特別区の設置に関する法律(以下「大都市地域特別区設置法」とします。)」が法定されているので、まずこれを見てみましょう。

大都市地域特別区設置法
第4条(特別区設置協議会の設置)
(1)特別区の設置を申請しようとする関係市町村及び関係道府県は、地方自治法第252条の2の2第1項の規定により、特別区の設置に関する協定書(以下「特別区設置協定書」という。)の作成その他特別区の設置に関する協議を行う協議会(以下「特別区設置協議会」という。)を置くものとする。
(2)特別区設置協議会の会長及び委員は、地方自治法第252条の3第2項の規定にかかわらず、規約の定めるところにより、関係市町村若しくは関係道府県の議会の議員若しくは長その他の職員又は学識経験を有する者の中から、これを選任する。
第5条(特別区設置協定書の作成) 特別区設置協定書は、次に掲げる事項について、作成するものとする。
(1)①特別区の設置の日
②特別区の名称及び区域③特別区の設置に伴う財産処分に関する事項④特別区の議会の議員の定数⑤特別区とこれを包括する道府県の事務の分担に関する事項⑥特別区とこれを包括する道府県の税源の配分及び財政の調整に関する事項⑦関係市町村及び関係道府県の職員の移管に関する事項⑧前各号に掲げるもののほか、特別区の設置に関し必要な事項
第6条
(1)関係市町村の長及び関係道府県の知事は、前条第六項の規定により特別区設置協定書の送付を受けたときは、同条第五項の意見を添えて、当該特別区設置協定書を速やかにそれぞれの議会に付議して、その承認を求めなければならない。
第7条
(1)前条第三項の規定による通知を受けた関係市町村の選挙管理委員会は、基準日から六十日以内に、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならない。

 この法律により、大阪に特別区を置くためには特別区設置協議会を設定し、特別区設置協定書を作成しなければなりません。その協議書が第6条によって府議会、市議会で承認されて初めて第7条によって住民投票に付されます。

 さらに地方自治法252条の2に基づき、大阪府議会、大阪市議会で承認された特別区設置協議会の規約は、協議会の行う事務と、その委員の選任について以下の様に定めます。

協議会規約
第3条(協議会の担任する事務)
(1)協議会は、次に掲げる事務を行う。
①大阪市の区域における特別区設置協定書(法第4条第1項に規定する特別区設置協定書をいう。次条において同じ。)を作成すること。
②前号に掲げるもののほか、大阪市の区域における特別区の設置(法第2条第3項に規定する特別区の設置をいう。次条において同じ。)に関し必要な協議を行うこと。
(2)協議会は、前項各号に掲げる事務を遂行するために必要な範囲内において、総合区の検討の状況に関し、報告を求め、協議を行うことができる。

第5条
(1)協議会は、会長及び委員19人をもって組織する。
(2)会長は、次に掲げる者のうちから、これらの者の協議を経て、大阪府知事及び大阪市長が選任する。
①大阪府知事
②大阪市長
③大阪府の議会の議長及び大阪府の議会が推薦した大阪府の議会の議員 9人
④大阪市の議会の議長及び大阪市の議会が推薦した大阪市の議会の議員 9人

 この大阪協議会規約に基づき、基本府議会、市議会の各党派の人数割りで議員が選任された結果、現在、

会長  維新 1人
大阪府 維新 4人 自民 3人 公明 2人
大阪市 維新 3人 自民 2人 公明 2人 共産 1人

で、19人中 維新 8人 非維新 11人(自民 5人 公明 4人 共産 1人)
という構成になっています。

 そして、この協議会で、公明党が「大阪都構想は、大阪市を廃止して特別区に分割するという市民生活に多大な影響のある自治体再編なのに、議論が尽くされていない」として維新への協力を拒んだことから、維新の提案した協定書案が承認されず、大阪都構想の実現が頓挫しているのです(さらに、維新は大阪府議会、市議会で第一党ですが、過半数を持たないので、協議会で協定書が承認されても、公明党の協力がなければ府議会、市議会で承認されません)。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

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