山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在仏ジャーナリスト
元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
理由の多くは男性の「嫉妬」。3月8日国際女性デーで「男女平等」が叫ばれるのに……
3月8日は「国際女性デー」。今年も世界中で「男女平等」が声高に叫ばれた。
だが、実態はどうだろう。依然として女性は、やはり「弱き者」を感じさせる現実が世の中には満ちている。
たとえば日本。千葉の小学4年の心愛さんが、父親による虐待で死亡した事件では、母親が夫の家庭内暴力(DV)を回避するために、虐待を傍観し、虐待の“共犯者”になった可能性が指摘されている。
私が住むフランスでも、夫、あるいは同居人や元カレにDVを受けて「3日に1人が死亡」という衝撃的な数字が発表された。「2017年度のDVによる死者は107人」(仏内務省)というデータもある。この数字は女性の犠牲者だけだが、子供25人、男性16人の犠牲者数と比べ、ずば抜けて多い。2016年は女性犠牲者が123人だったので、「改善された」(同)と関係者は多少、愁眉(しゅうび)を開いているが、それでいいの、と疑問が募る。
ちなみにマルレーヌ・シアッパ首相付き男女平等・差別対策担当副大臣によると、今年はすでに新年から2月末までに、30人がDVで殺害されており、楽観は許されない状況だ。