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嘘つきは戦争の始まり

2月27日(水) 午前中、スポーツクラブに。まだわき腹に違和感を覚えて泳げない。つらいなあ。今日からベトナムのハノイで米朝首脳会談の第2ラウンド。第1回のシンガポールの時と同様に日本からは大取材団が派遣されている。特にアメリカからは大勢のトランプ同行取材の記者たちがハノイ入りしているようだ。静岡のビキニデーの集会の講演準備。嘘つきは戦争の始まり。戦後日本の核政策の歴史を振り返ると、このコピーが頭に浮かんできた。現政府は核兵器使用や保持を明確に否定しない。

ハノイのホテルで記者会見に臨んだトランプ米大統領拡大ハノイのホテルで記者会見に臨んだトランプ米大統領

2月28日(木) 早起きして、朝、スポーツクラブへ。まだ泳げない。本当にストレスがたまってどうしようもない。ボーっとして生きてんじゃねえよ。と思っていたら、15時40分、ハノイで動きがあった。米朝サミットは、非核化を巡り合意に至らず、文書の署名式や昼食会もキャンセルされ、トランプ大統領の記者会見が前倒しで日本時間の午後4時から始まるという。NHKがニュース速報を打っている。このような形で決裂するとは僕も想像していなかった。ただずっとCNNをみていると、アメリカ本土では議会公聴会のコーエン元顧問弁護士の爆弾証言が延々と報じられていた。こういう状況のもとでの大甘な合意は帰国後のリアクションを考えれば、文書の署名にまでは進めなかったのではないか。

 トランプ大統領の記者会見生中継をテレビでみていた。要するに、ヨンビョン核施設の永久放棄の代わりに制裁の全面解除を求めてきたのでのめなかったと言っているのだが、本当のところはどうなのだろう。目を引いたのは、ポンペオ国務長官が記者会見に並んで同席していたこと。トランプは多弁だった。計24人もの記者たちの質問に答えていた。本国の議会で「racist=人種差別主義者」などと顧問弁護士に言われたことを聞いた記者もいた。アメリカはもちろん、韓国や中国の記者も果敢に質問していた。イスラエルの記者までいて、ネタニヤフ首相の危機について聞いていた。トランプ大統領は、嬉々として答えていた。一体何があったのだろうか。取材をしなければ真相はわからない。

 日本の記者からの質問はなかった。夕方から夜にかけての日本のテレビのニュースをみていたが、率直に言えば、何か「決裂」を「歓迎」しているかのような興奮気味のリポートをしている記者たちが散見された。何だかなあ。深夜1時過ぎ、リ・ヨンホ北朝鮮外相が急遽、記者会見を行ったという。日本のメディアは締め出されたようだ。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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