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イランのビーフシチュー

 この日の食卓に並んだのはイランのビーフシチューとも形容される「ゴルメサブジ」だ。「サブジ」は野菜を意味する言葉だ。ハーブミックス、赤インゲン豆などと一緒にじっくりと肉を煮込み、そこに加えた乾燥レモンなどの酸味が味のアクセントとなる。サフランで色づけたライスは、香りもさることながら、見た目の美しさも魅力的だ。一口食べると、肉はとろけるほどに柔らかく、ソースは独特のコクがある。

拡大ハーブミックスは水で戻すと生き生きとした鮮やかな緑に

拡大細やかな味に仕上げるには欠かせない乾燥レモン

 ハーブミックス、乾燥レモンやサフランは、日本ではどこででも手に入るものではない。キッチンの片隅には、イランにいる家族から送ってもらったり、都内のイラン食材店で購入したりした食材が並んでいる。

拡大時間をかけてじっくりと煮込んだ野菜は、ソースに溶け込んでしまうほど柔らかい

拡大ラフランで色づけしたライスや、こんがり焼いたジャガイモの色合いも食欲をそそる

家ではいつも母の手料理

 「家ではいつも母の手料理でした。父も何とか手伝おうとするのですが、母の料理の腕があまりにもいいので、ほとんど手伝えることがなかったんですよ」。家ではいつもそんな母の意見が一番強かったんです、と懐かしそうに笑う。日本でこうして食事の支度をしている間も、脳裏には故郷のキッチンと、母が料理をする背中が浮かぶのだという。

拡大手際よく料理するホセさんを、Sさんもアシスト。呼吸もぴったりだ

 ホセさんの実家は絨毯(じゅうたん)を売る仕事をしていた。ホセさん自身も父親と一緒に、中東やヨーロッパ、アジアの国々を飛び回っていたという。母語のペルシャ語にとどまらず、英語やフランス語など7カ国語を駆使しながら商談をまとめた。扱っていた絨毯は一枚一枚が非常に高価であったことから、客層は常に富裕層だった。ホセさん自身もその仕事に誇りを持っていた。

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筆者

安田菜津紀

安田菜津紀(やすだ・なつき) フォトジャーナリスト

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、カンボジアを中心に、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で貧困や災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。写真絵本に『それでも、海へ 陸前高田に生きる』(ポプラ社)、著書に『君とまた、あの場所へ シリア難民の明日』(新潮社)。『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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