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黄色いベストとブラック・ブロックの危険な関係

暴力至上主義者との共同戦線で暴動化。「パリ炎上」で支持を失うパリのデモ

山口 昌子 在フランス・ジャーナリスト

「黄色いベスト」と別物か?同じ穴のムジナか?

 その存在が国際的に知れ渡ったのは、99年11月に米シアトルであった世界貿易機関(WTO)閣僚会議の時だ。世界中から「反グロ―バル化」の運動家たちが参集し、激しいデモを展開した。01年の伊ジェノバの主要国首脳会議(G8。当時はまだロシアも参加)の際には、イタリア警察と激しく対峙(たいじ)。デモ隊に死者1人が出る惨劇に発展した。

 その後も、G8や北大西洋条約機構(NATO)首脳会議など国際的な大会議になると現れ、「反グロ―バル化」などのデモ隊に紛れ込んで「暴力デモ」を主導する。その異様な黒づくめの服装とともに、その存在が注視されるようになった。

マリーヌ・ルペン国民連合(RN)党首拡大マリーヌ・ルペン国民連合(RN)党首
 RNのルペン党首は「黄色いベスト」への支持を表明した手前、今回の「過去最悪」の暴力化に対し、「あれは『黄色いベスト』の狼藉(ろうぜき)ではない。『ブラック・ブロック』の仕業だ」と述べ、ふたつの集団の個別化を図ったうえで、「黄色いベスト」を擁護した。

 そもそも、「黄色いベスト」と「ブラック・ブロック」とは、ルペンの指摘するように、個別化ができるのだろうか? マクロン大統領は、デモ直後のツイッターで、「デモに参加した『黄色いベスト』は、(暴動、略奪、放火の)全員が共犯者だ」と断罪し、「黄色いベスト」と「ブラック・ブロック」は同じムジナとの判断を下した。

 今回のデモには仏全国で約3万2000人(仏内務省発表、「黄色いベスト」側発表で約24万人)、パリでは約1万人が参加した。「ブラック・ブロック」と一線を画したい「黄色いベスト」の一部はパリ・オペラ座付近で「暴力なし」のデモを展開したが、大多数はシャンゼリゼ大通りで、「ブラック・ブロック」とともに襲撃、放火に参加した。

事前の“談合”も明らかに

 ふたつのグループが、事前に一種の“談合”をしたことも明らかになっている。「黄色いベスト」のメンバーが週刊誌「OBS」に証言したところによると、「ブラック・ブロック」が2月初旬に、「黄色いベスト」のリーダー格の男女2人に接触し、共同戦線を提案したという。

 この2人は「ブラック・ブロック」に質問状を送り、「目的」や「何を代表しているのか」「どこまでやるつもりか」、そして「戦術」などを質した。これに対し、「ブラック・ブロック」は、「目的は諸君と同じ」などと回答したという。2グループはすでに、「共同戦線」を張ることで合意していたわけだ。

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在フランス・ジャーナリスト

産経新聞パリ支局長を1990年から2011年までつとめる。著書に『ドゴールのいるフランス』(河出書房新社)、『フランス人の不思議な頭の中』(KADOKAWA)、『原発大国フランスからの警告』(ワニブックスPLUS新書)、『フランス流テロとの戦い方』(ワニブックスPLUS新書)、『ココ・シャネルの真実』(講談社+α新書)、『パリの福澤諭吉』(中央公論新社)など。ボーン・上田記念国際記者賞、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受賞。

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