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北朝鮮大使館襲撃に関与。「自由朝鮮」の正体とは

リーダーはエール大卒の韓国系アメリカ人で人権団体創設者。FBIとも情報共有

高橋 浩祐 国際ジャーナリスト

エイドリアン・ホン・チャン氏とは

 ホン氏は名門エール大学を卒業後の2004年3月、脱北者を支援し、北朝鮮人権運動を行う非政府組織(NGO)の「LiNK」(Liberty in North Korea=北朝鮮に自由を)を仲間とともに設立した。

 朝日新聞の元主筆、船橋洋一氏は「週刊朝日」2006年3月24日号で、「LiNKは2年前、エール大学を卒業したばかりのエイドリアン・ホンが始め、瞬く間に全米の大学キャンパスを中心に、200の支部が生まれた」と書いている。

 2007年に米バージニア工科大学で韓国人学生が銃乱射事件を起こし、当時の駐米大使が謝罪した際、ホン氏は韓国系米国人大学生の団体「ミレ(未来)基金」の事務局長として、ワシントン・ポストに寄稿し、「民族的な問題を代弁した行動ではない」「大使が謝罪をするのは不適切だ」などと批判した。

 2014年12月には、アメリカの政治専門サイト「ポリティコ」への寄稿の中で、04年から08年までLiNKの共同創設者兼事務局長を務めていたことを明らかにしている。06年12月には、脱北者6人が中国の瀋陽にあるアメリカ領事館に保護を求めているのを、LiNKの仲間2人ともに支援しているさなか、中国の公安当局に拘禁され、その後、国外追放された。

motioncenter/shutterstock.com拡大motioncenter/shutterstock.com
 2007年6月には、グーグルのTech Talksに登壇し、「北朝鮮の人権危機」との題目で講演している。この時の動画はYouTubeでも見れるが、1時間にわたってよどみなく熱っぽく話し続ける姿からは頭の回転の速さがうかがわれ、「さすがエール大卒のエリート」という印象を受ける。

 2008年には、ソウルにある梨花女子大学校で外部講師として人権問題などを教えた。

 LiNKの活動をやめた後は、「ペガサスプロジェクト」という別のNGOを始めた。2009年には世界各国の革新家が名を連ねる「TEDシニアフェロー」にも選ばれ、その後は何度もTEDのイベントで登壇している。

 2012年9月には、アメリカのシンクタンク・ハドソン研究所のシンポジウムに、自らが救出支援した男性脱北者とともに登壇。「北朝鮮は単に人権の問題だけではない。そこは、現代文明のブラックホールと言えるような場所だ」と述べた。16年にはカナダの上院人権委員会で北朝鮮の人権問題について証言している。

 NKニュースによると、ホン氏は2015年にニューヨークに拠点を置くシンクタンクの「朝鮮インスティチュート」を開設した。「北朝鮮の急速に差し迫る劇的な変化を踏まえて、政策的な調査企画を行う」組織であることが公式サイトではうたわれている。

 NKニュースは、この「朝鮮インスティチュート」のミッション声明が、「自由朝鮮」の前身として知られる亡命政府団体の「千里馬(チョンリマ)民防衛」のそれと似ていると指摘している。千里馬とは、翼を持ち1日に千里走るという朝鮮の伝説の馬だ。

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筆者

高橋 浩祐

高橋 浩祐(たかはし・こうすけ) 国際ジャーナリスト

英国の軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」東京特派員。1993年3月慶応大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務める。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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