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[40]マリーモンドが「反日ビジネス」で盛況?

伊東順子 フリーライター・翻訳業

「反日ビジネス」をとりあげた「モーニングショー」(テレビ朝日系)のテレビ画面はネットでも拡散された「反日ビジネス」をとりあげた「モーニングショー」(テレビ朝日系)のテレビ画面はネットでも拡散された

 「反日ビジネス」なる用語が、日本の「モーニングショー」(テレビ朝日系)などで使用されたという。日本で「反日」や「親日」という言葉が、それこそ「ブーム」のように使われているのは知っているが、それがビジネスになるという発想に驚いた。しかもやり玉にあがったのが、またしても「MARYMOND(マリーモンド)社」なのだという。

 ネット上には当該番組の動画や、放映されたパネルの写真などもあがっている。そのパネルを見ると、「買い物で愛国心あおる?“反日ビジネス”盛況」というタイトルのもと、以下4つの商品が写真と解説入りで紹介されている。

1 スマホケース 利益の一部を元慰安婦に寄付
2 「独島化粧品」利益の一部を竹島(韓国名・独島)PRに
3 ボールペン 竹島(韓国名・独島)をデザイン
4 カップラーメン 「独島エビ」に見立てた乾燥エビ入り

 画面右には「盛況 “反日ビジネス”続々」という文字があるが、韓国在住者なら首をかしげるだろう。盛況? 続々? ちなみに4つの商品のうち2・3・4はいずれも「独島」関連、「何をいまさら」感がある。

 私自身の持ち物を調べてみても、何かのおまけでもらった消しゴムのカバーは独島だし、ずっと以前の貯金通帳にも独島カバーのものがあった。独島の絵柄は身近にあふれており、いまさら「盛況」も「続々」もないだろう。絵柄としての使われ方は日本の富士山と似ている。ただ、富士山と違って、独島は領土問題を抱えているため、対立する立場からは政治的に見えるのも仕方ないかもしれない。

 とはいえ、日本で発売された「竹島ものがたり」という饅頭ほど、ストレートではない。「竹島ものがたり」には竹島に日の丸の爪楊枝を立てる仕様であり、はっきり政治的だ。では、これは「反韓ビジネス」なのだろうか? これが島根県で売られたことをもって「島根県では反韓ビジネスが盛況」と報道されたら、県民はどんな気持ちになるだろう?

マリーモンドマリーモンドジャパンの公式サイトより

マリーモンドとは?

 新しさという点では、1のスマホケースだ。こちらがマリーモンド社の製品である。美しい花柄のモチーフはスマホケースだけでなく、ノートやボールペンなどの文房具やファッション雑貨などにも使用されている。1月末、このブランドのエコバッグをもっていた女性が、会社からバッグの使用を禁止されたことが、日韓のメディアで報道された。経過については、「韓国人空港スタッフへの『慰安婦支援ブランド禁止』令。企業はどこまで縛れるのか」という記事に詳しく書かれている。

 記事によれば、「1月に入って、スタッフがマリーモンドのバッグを持っているのを見た社外の人物から『慰安婦支援のブランドではないか』などの指摘があったのがきっかけだったという」とある。

 「モーニングショー」が「反日ビジネス」の筆頭にこのマリーモンド社をあげたのも、「慰安婦問題」との関連である。番組は「マリーモンド=元従軍慰安婦支援=反日」という捉え方のようだ。韓国ではどうなのだろう? マリーモンドはどんなイメージなのだろう?

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