「女が政治?とんでもない」から転換めざし25年
元参院議員・円より子が見た面白すぎる政治の世界④女性の政治参加を求め続けて……
円より子 元参議院議員、女性のための政治スクール校長

高輪にあった日本新党本部のホールで行われた「女性のための政治スクール」の開校式に参加した加藤シヅエ名誉校長(右)、加藤タキ校長(中)、円より子事務局長(左)=1993年2月3日
連載・女性政治家が見た! 聞いた! おもしろすぎる日本の政治
めんどりが時を告げれば国亡ぶ?
「めんどりが時を告げれば国亡ぶ」というという言葉がある。
女性が政治に口を出すとろくなことがない、女が権勢をふるうままにすると国が滅びるという意味の、中国の故事だという。
これってどうなんだろう?
この連載の初回「強姦罪の審議でおじさん議員が放った有り難いヤジ」で私は、さまざまな分野で多様性が増すであろうポスト平成の日本において、男性政治家だけでは対応できなくなるのは明らかだ、と書いた。国の未来は、女性たちがどれだけ声をあげるかにかかっている。それは、ポスト平成の日本に限らない。これまでもずっとそうだった。
だからこそ、1992年夏に日本新党に関わるようになったときから、私はどうすれば女性が政治に関心をもってくれるか真剣に考え続け、さまざまな取り組みをした。日本新党のボランティア委員会もそのひとつ。大勢の女性たちが登録してくれて、細川護熙さんの日本新党づくりを手伝った。緑のポケットチーフをつくって寄付も募った。
政治に関心を持つのは男性?

日本新党のイメージカラー緑のポケットチーフを売って、カンパを募ってくれたボランティアの女性たち=1992年7月8日
しかし、私が九州など各地をまわって演説しても、家から出てきて、「頑張れよ~」と声をかけてくれるのは、ほとんどが男性だった。月刊「文藝春秋」に載った細川さんの論文を読んでいるのも男性の方が多かった。
町で買物をしている女性たちに話しかけたときのこと。「日本新党の円です」と言うと、「日本神党? 円さん、信者なんですか」と。新しい党としてではなく、宗教の神党の一種と思ったのか。そんな女性は結構いて、脱力したのを覚えている。
93年夏の都議選や、間近にあるかもしれない衆院選のため、女性の候補を選んでほしいと細川さんから頼まれていたが、「この人は」と思う女性ほど、政治に距離をおいていた。「政治はまさに生活。私たちの生活を良くするのも、子どもの将来も平和もまさに政治」と熱意をこめて語っても、政治は縁遠い存在らしかった。
そういう私だって、日本新党に関わるまでは、娘をやっと寝かしつけて、原稿を書いているときなどに、選挙カーが走ってきて「〇〇です。〇〇をよろしくお願いします」とがなりたてられると、頭にきて窓を閉めていた。「住宅街では、マイクを規制するべきだ」と憤懣やる方なかったのだから、まことに現金なものである。