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カンボジアの定番料理、胡椒が味を引き締める

 手がけてくれたのは、私も大好物のカンボジア流豚の角煮、「コーサイッチュルーク」だ。クメール語で「コー」は煮る、「サイッチュルーク」は豚肉を意味する。街中の食堂でも、家庭の食卓でもよく見かける定番料理だ。料理のアクセントのひとつとなるのが胡椒だ。かつてカンボジアの胡椒は「世界一」と称賛されていた時代があった。内戦で一時その営みは廃れてしまったが、この20年余りで産業として徐々に息を吹き返してきた。砂糖も加えてじっくり煮込んだまろやかさを、胡椒が最後にぴりっと引き締めてくれる。その腕前は「お料理上手だった祖母を見ていたから」だという。

拡大コーサイッチュルークと共に頂く、少し酸味の効いたスープも食欲をそそる

拡大細やかにすりつぶされた胡椒は香り高い

 近年カンボジアへは日本からの直行便も行き来するようになり、この国との距離はぐっと縮まったように思う。学生たちからビジネスマンまで交流人口も増え、カンボジアならではの味に現地で魅了された人たちも少なくないはずだ。けれどもこの国はかつて、戦火にのまれ、いまだその歴史の爪痕を背負っている。セタリンさんの記憶と共に、その歩みをたどりたい。

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筆者

安田菜津紀

安田菜津紀(やすだ・なつき) フォトジャーナリスト

1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、カンボジアを中心に、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で貧困や災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。写真絵本に『それでも、海へ 陸前高田に生きる』(ポプラ社)、著書に『君とまた、あの場所へ シリア難民の明日』(新潮社)。『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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