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[130]NHKドラマ『詐欺の子』は秀作だ

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

今帰仁村の沖合でジュゴンが死んで沖縄・今帰仁村の沖合で死んでいたジュゴン=運天漁港

3月19日(火) 午前中「報道特集」の定例会議。その後、調査案件のことでプレゼン。もの別れ。こころの中に荒涼とした風が強く吹いている。JAGATARAの「もうがまんできない」の歌詞(作詞:江戸アケミ©)を、こころのなかで何度も反復する。

ちょっとのひずみなら 何とかやれる
ちょっとのひずみなら がまんしだいで何とかやれる
日々の暮らしには辛抱が 大切だから
心のもちようさ

ちょっとの裏切りなら 水に流せる
ちょっとの裏切りならば 水に流してしまおう
人の愛には打算が いつもついてまわるものさ
心のもちようさ

ちょっとの甘い罠には はめられもする
ちょっとの甘い罠には 軽くはまってみせる
弱いアンタのおつむにゃ せこさ加減がちょうどさ
心のもちようさ

ちょっとの搾取なら がまんできる
ちょっとの搾取ならば 誰だってそりゃあがまんできるさ
それがちょっとの搾取ならば

心のもちようさ 心のもちようさ
心のもちようさ 心のもちようさ

 沖縄の今帰仁村の沖合でジュゴンが死んで浮いているのがみつかった。朝のNHKのニュースがとりあげていた。今のところ、辺野古の埋め立てとの因果関係に言及することは、どのメディアもやっていないが、これはある種の<黙示>ではないのか。ジュゴンの餌場を奪ったことは紛れもない事実なのだから。言いようがないほどに悲しいニュースである。プライベートなレベルでの今日の不快事も乗り越えて、こころを立て直し、資料精読。

 その後、新宿でM、Bと打ち合わせ。中東取材の関係者から電話が入る。栃木県佐野市のモスク前で、無職の日本人男性が、礼拝に来たインドネシア人男性を襲ってケガを負わせ逮捕された事件を知っているかと問いあわせてきた。全く知らなかったので調べたら、NHKが報じていた。ニュージーランドのテロ事件が起きたばかりなので、イスラム社会は今、ピリピリしているようだ。

 竹田恆和JOC(日本オリンピック委員会)会長、6月退任を表明のニュース。夕方の5時以降に囲みの取材で質問を受けていた。東京オリンピックの招致に関する贈賄疑惑について、退任との関連を否定していたが、記者たちの突っ込みがいま一つ足りないように思えた。80人くらいの報道陣がいたとのことだが、どのような構成だったのだろうか。

 夜、日本ペンクラブから連絡が入り、次期理事に選ばれたとの報。任期は2年。全くのボランティアベースの仕事だが、激動の時期にいったい何ができるのだろうか。

誰のために報道の仕事をしているのか

3月20日(水) 外はとてもいい天気だ。あたたかい。意を決してプールへ。泳ぐ。特にいざこざがあった翌日はひたすら泳ぐ。耐えがたいストレスを水に流してしまいたいからだ。調査案件の続行。午後3時から調査案件の件でHさんと会合。さすがにこの分野の第一人者で、すぐに鋭い反応が返ってきた。

 午後3時前、今年に入ってから最大級の不条理な出来事がやってきた。怒りでからだが打ち震える。ポイント・オブ・ノー・リターン。引き返し不能地点。新宿でN氏。NHKの組織改編の背景などをご教示いただく。本質をずばり説いていた。「働き方改革」という号令のもとで、NHKの制作現場に「ユニット制」が導入されるとは

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