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「合わせ鏡」の天皇と国民 姜尚中氏、改元を語る

【2】ナショナリズム 日本とは何か/「世替わり」の日本 姜尚中氏との対話②

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

「国民次第なんです」

 政治学者の姜さんは、日本の象徴天皇制に「プラスの面」を見る。

 「グローバル化時代のキーワードは分断です。象徴と権力を大統領が一身に背負う韓国や米国では、政治のスイングがすごく激しい。でも日本だと、社会の分断に権力(政治)が直面しても、社会の統合が象徴(天皇)によって行われているという安心感があるんです」

拡大ナショナリズムについて語る姜尚中氏=3月7日、東京・築地の朝日新聞社
 「安心感」という言葉に、私はひっかかった。憲法上の国事行為の枠外で「行動していく天皇」は、これからも「日本国の日本国民統合の象徴」であり続けられるのか。皇太子殿下は2月の会見で「その時代時代で新しい風が吹くように、皇室のあり方もその時代時代によって変わってくる」とも語っている。それがうまく回り続ける保証があるのかという疑問だった。

 姜さんは「最後は国民次第なんです」とボールを投げ返してきた。「天皇と国民は合わせ鏡です。だから新元号で『世替わり』をする時も、天皇を奉って過剰な期待を持ったり、逆に過小評価したりするのはそぐわない。国民がどういう意志を持って象徴天皇にあるべき姿を与えていくかが一番大切なんじゃないかな」

 やりとりの場は皇居前広場から、移動中の車内を経て、築地の朝日新聞社の接客室に移っていた。姜さんは議論をぐっと掘り下げ、ナショナリズム、つまり国家や国民とは何かを考える入り口へと私を運んでくれた。

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筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)

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