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戦争に沸いた「国民」 暴動の都心を作家と歩く

【7】ナショナリズム 日本とは何か/日比谷焼き打ち事件と「国民」①

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

拡大日比谷焼き打ち事件を伝える「東京騒擾画報」(1905)から、日比谷公園の門前で投石する群衆=東京都立図書館所蔵

 「国民」の代表である国会議員が、戦争で奪われた領土を取り戻すために「戦争しないと」と語る。しかも、戦争でその領土から追われた「国民」に対してだ。

 戦後が遠ざかる令和の始まりに、昭和末期に生まれた国会議員がそんなことを口にする。その戦争とは、日本が敗れた第2次世界大戦。領土とは、ロシアの前身であるソ連に奪われた北方四島だ。

 ただ、ソ連のそのまた前身であるロシアと戦った日露戦争(1904~05)では、「国民」は勝利に沸き、見返りはないのかとすさまじい暴動を起こした。


筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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