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日露戦争を伝えた特派員、揺れた文学者たち

【9】ナショナリズム 日本とは何か/日比谷焼き打ち事件と「国民」③

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

拡大明治の文豪・二葉亭四迷(左)と国木田独歩も日露戦争に揺れた

 「新聞の売れゆきがぐんとふえた」(朝日新聞社史 明治編、1995年)という日露戦争の報道は、人々に連帯感をもたらした。それは、できたての近代国家をまとめるべく明治憲法で示された天皇の「臣民」としてというよりも、初の総力戦に臨む運命共同体である「国民」としてのものだった。

 そんな連帯感を生んだ報道とは、どんなものだったのか。朝日新聞の特派員・弓削田秋江は、日露戦争において、そして日本陸軍にとって最初の大規模戦闘となった1904年の遼陽会戦に従軍した。ロシア軍の陣地「首山」を抑えた際の記事に、こんな一節がある。


筆者

藤田直央

藤田直央(ふじた・なおたか) 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)

1972年生まれ。京都大学法学部卒。朝日新聞で主に政治部に所属。米ハーバード大学客員研究員、那覇総局員、外交・防衛担当キャップなどを経て2019年から現職。著書に北朝鮮問題での『エスカレーション』(岩波書店)、日独で取材した『ナショナリズムを陶冶する』(朝日新聞出版)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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