市川速水(いちかわ・はやみ) 朝日新聞編集委員
1960年生まれ。一橋大学法学部卒。東京社会部、香港返還(1997年)時の香港特派員。ソウル支局長時代は北朝鮮の核疑惑をめぐる6者協議を取材。中国総局長(北京)時代には習近平国家主席(当時副主席)と会見。2016年9月から現職。著書に「皇室報道」、対談集「朝日vs.産経 ソウル発」(いずれも朝日新聞社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
合理的でない事件の連続、「令和」は不条理からのスタート
紙幣を5年後に新しくするという4月9日のニュース。
観光立国へ力を傾けるなか、外国人に不評なキャッシュ(現金)社会を変えようとしている時に、なぜ新札の話なのか。なぜ新元号の発表と改元の間に発表の日を選んだのか。「以前から検討していた」「偶然の一致」だという。つまり特別な動機はないらしい。でも、これが果たして合理的な行動といえるのだろうか。
なぜ苦戦しそうな大阪と沖縄の衆院補選告示の日に「5年後」の話をぶつけてきたのだろうか。その前には、関門海峡を結ぶ「下関北九州道路」事業をめぐって、国土交通副大臣が、副総理の意向を「忖度する」と発言し、辞任に発展した。この副大臣は後に「真実と異なる」と撤回したが、自分で「忖度」と言った事実が「事実と異なる」というのは、日本語として破綻している。
忖度に言及した動機は何なのか。ウソならウソで、なぜそう言ったのか。腑に落ちるような合理的な説明は聞けていない。
その「忖度した」と言われた側の麻生太郎副総理(財務相)が、