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母親ジュゴンBの死は忘却されるのか

AとCも行方不明。沖縄の海からジュゴンが消えた。ジュゴンも沖縄も忘れられるのか

島袋夏子 琉球朝日放送記者

拡大死んだ個体B=4月19日撮影、琉球朝日放送提供

ジュゴンが死んだ

 先月、天然記念物のジュゴンが死んでいるのが見つかった。

 ジュゴンは、国が埋め立てを強行する沖縄県名護市辺野古近くでも生息が確認されていたことから「辺野古阻止」の象徴的存在になっている。テレビや新聞は、一番に基地建設との関連性を疑った。

 死骸が見つかったのは、辺野古とは反対側の沖縄本島西海岸で、工事との関連性が薄いとみられたため、報道はすぐに下火になった。けれど、基地建設の影響かどうかだけこだわっていては、見えなくなってしまう大切なことがあった。

 ジュゴンは、沖縄本島近海でも3頭しか確認されておらず、極めて危機的な状況にある。

 私がジュゴンに惹かれたのは、次の動画がきっかけだった(『極秘映像!辺野古を泳ぐジュゴン、海ガメを連れて』参照)。

ジュゴンがウミガメを連れて泳いでいる。米軍基地建設のため、埋め⽴てに向けた⼯事が始まった沖縄・辺野古に近い海。極秘映像を琉球朝⽇放送が⼊⼿した

 国が辺野古の環境アセスメントで撮影したとみられる映像である。そこに映っていたのは、カメをお供に連れて、のんびり泳ぐジュゴンの姿だった。自分と同じ世界に、同じ時代を生きる、こんなに愛らしく、力強い命の営みがあるのだと心が震えた。

 今回、希少な3頭のうち、1頭が死んでしまったことで、残る2頭の希少性が、より高まったはずだった。ところが、調べたところ、その2頭も、ある時期を境に行方不明になっていた。

 沖縄の、日本の海からジュゴンが消えたのだ。

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筆者

島袋夏子

島袋夏子(しまぶくろ・なつこ) 琉球朝日放送記者

1974年沖縄県生まれ。琉球大学法文学部卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修了。 山口朝日放送で約10年勤務したのち、2007年に琉球朝日放送入社。米軍基地担当などを経て、現在はニュースデスク、調査報道担当。2014年「裂かれる海~辺野古 動き出した基地建設~」で第52回ギャラクシー賞番組部門大賞、2016年「枯れ葉剤を浴びた島2~ドラム缶が語る終わらない戦争~」で日本民間放送連盟賞テレビ報道部門最優秀賞、2017年石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞公共奉仕部門奨励賞など。

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