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山本太郎氏「れいわ新選組」の公約は実現する!?

衝撃公約の実現可能性を探ってみると、ひょっとすればの道が見えてきた

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士

不足分の政府補償も可能

 Andre Lefrancois/shutterstock.com拡大 Andre Lefrancois/shutterstock.com
 ところで、れいわ新選組の公約では、もうひとつ「不足分は政府が補償」としていますが、その実現は可能でしょうか。

 まず最低賃金+15%の労働者はおおよそ400万人、年収としては200~300万円程度で、日本全体でざっと10兆円程度の賃金が支払われています。これを政府が全額補償するのはおよそ現実的ではありません。

 仮に、何とか財源をやりくりして全額補償できたとすると、企業の側は、さらに最低賃金近くでの雇用を増やし、人件費赤字分はすべて政府にもらうという方法が使えるので、政府支出がどこまでも拡大してしまいます。そのうえ、この様な方法は、賃金全体を最低賃金近くに張り付け、人手に頼った経済運営を助長することとなり、生産性の向上、経済の効率化にも逆行してしまいますので、代替案を考える必要があります。

 そこで改めて先ほどの数字をよく見ると、5%最低賃金を上げることで民間が新たに負担するのは、10兆円の5%、5000億円に過ぎないことが分かります。これなら、5%の賃上げによって達成される、4.65%の経済成長で得られる税収増5兆円弱で十分に賄えます。政府補償は、この5兆円のうち5000億円を使って「中小企業については、前年の最低賃金との差額を、政府が全額補償」し、さらに5000億円を中小企業が業務を効率化するために使えば、中小企業も十分毎年5%の最低賃金上昇ができるものと思います。

 こうすることで、れいわ成長シナリオで初年度に得られる経済成長による税収増の5兆円のうち1兆円は、中小企業の賃上げ補償ほかに使われることになります。

消費税撤廃の実現の仕方は

 それでは、このれいわ成長シナリオで、公約の消費税撤廃は可能でしょうか。

 れいわ成長シナリオで4.65%の経済成長を11年続けると、GDPは910兆円となり、税収はざっと50兆円程上昇し、120兆円程になります。他方、人口の高齢化に伴い歳出も上昇し、10年後(残念ながら11年後の推定がなかったので10年後の数字を用います)には、基礎的歳出95兆円、国債費35兆円で、合計130兆円となります。最低賃金が1500円となった11年後、基礎的財政収支はプラスになっていますが、公債費を入れた財政収支はなお、10兆円のマイナスになる計算です。

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 そして、この時点での消費税率が10%であるとすると、消費税は大体1%ごとにGDPの0.4%の税収を上げるので、税収は36兆円になります。この税収がなければ、公債費を入れた財政収支は当然マイナス、基礎的財政収支も10兆円のマイナスとなりますから、まだ消費税を撤廃するわけにはいきません。

 消費税を撤廃するためには、この時点の消費税収36兆円に、財政収支のマイナス分の10兆円を足した46兆円ほど、さらに税収が増えるのを待つ必要があります。つまり、れいわ成長シナリオをさらに10年継続し、4.65%成長を21年間ほど続ける必要があるわけです。

 こういうと、「なんだ、やっぱり山本太郎の公約は実現できないじゃないか」と言われそうですが、実は考えようによっては、消費税撤廃の公約はいとも簡単に実現できます。

 現在100円の給与をもらっている人は、消費税によって92円しか消費できません。しかし5%の賃上げが行われると、消費税が10%になっても、2年後には110円の給与を貰い、100円消費することが出来ます。つまり5%の賃上げは、それを2年間続けるだけで、消費税撤廃と同じ効果を持ち、消費税撤廃の公約も実質的に実現できるのです(少々強引ですが)。

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筆者

米山隆一

米山隆一(よねやま・りゅういち) 前新潟県知事。弁護士・医学博士

1967年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学系研究科単位取得退学 (2003年医学博士)。独立行政法人放射線医学総合研究所勤務 、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、 東京大学先端科学技術研究センター医療政策人材養成講座特任講師、最高裁判所司法修習生、医療法人社団太陽会理事長などを経て、2016年に新潟県知事選に当選。18年4月までつとめる。2012年から弁護士法人おおたか総合法律事務所代表弁護士。

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