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令和の沖縄が昭和を超克するために必要な政治とは

今も昭和の記憶とともに生きる沖縄。平成が終わり令和を迎えた沖縄のキーワードは自立

山本章子 琉球大学講師

沖縄補選で当選した屋良氏は「革新派」か

衆院沖縄3区補選で当選した屋良朝博氏(右)=2019年4月21日、沖縄県沖縄市拡大衆院沖縄3区補選で当選した屋良朝博氏(右)=2019年4月21日、沖縄県沖縄市
 4月21日に投開票が行われた衆議院沖縄3区補欠選挙で、無所属でフリージャーナリストの屋良朝博氏が、元沖縄北方担当大臣の島尻安伊子氏をおさえて当選した。2018年9月に沖縄県知事選を制した、玉城デニー知事の衆議院議員失職に伴う今回の選挙の特色は、両候補がともに辺野古問題を争点のひとつに挙げたことだった。

 メディア各社の世論調査によれば、沖縄県内の有権者の約6~7割は、普天間飛行場の辺野古移設に反対している。2014年の沖縄県知事選で、現職の仲井眞弘多氏が敗れて以来、自公候補は選挙で移設の是非に触れない「辺野古隠し」を定石としてきた。今回の選挙で「辺野古隠し」が行われなかったことは、民主主義の観点から喜ばしい。

 屋良氏は、選挙で「オール沖縄」の支援を受けたことや、沖縄タイムスの記者、論説委員をつとめた経歴などから、「革新派」の政治家と見られている。だが、彼の代表作『砂上の同盟』『誤解だらけの沖縄・米軍基地』を読めば、その思想が単純にイデオロギーで分けられるものではないことが分かる。

 日米両政府が、普天間飛行場の県内移設を正当化するために使う「在沖海兵隊は抑止力」だという議論に根拠がないことを、屋良氏は一貫して軍事戦略の観点から解き明かしてきた。『砂上の同盟』が刊行された2009年のから10年間に、屋良氏の主張は全国に浸透した。実際、安倍晋三内閣は普天間県内移設の理由として、もっぱら「一日も早い普天間の危険性除去」を主張するようになっている。

「アメリカ世」世代の政治家

 沖縄の「革新派」の政治家は、沖縄戦の記憶を語り継ぎ、基地のない平和な沖縄を目指してきた。一方、沖縄の伝統的な「保守派」政治家は、沖縄戦の記憶を持ちつつも、自民党を支持し、米軍基地の受け入れとひきかえに経済振興を求めた。

 沖縄の保守派の本流ともいえる故・翁長雄志氏(前沖縄県知事)は、1950年生まれで沖縄戦を体験していないが、父親から沖縄戦の体験を聞かされて育っている。2007年に安倍内閣のもとで出来(しゅったい)した教科書問題(高校の歴史教科書検定で、沖縄戦の「集団自決」に対する日本軍の強制性が削除された)をきっかけに、翁長氏は日本政府を批判するようになる。沖縄戦の記憶は、保守派の翁長氏と革新派を結びつけ、オール沖縄を誕生させた。

 こうした「沖縄戦世代」の政治家に対し、玉城知事や今回当選した屋良氏は「アメリカ世世代」の政治家といえる。

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筆者

山本章子

山本章子(やまもと・あきこ) 琉球大学講師

1979年北海道生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。著書に『米国と日米安保条約改定ー沖縄・基地・同盟』(吉田書店、2017年)、『米国アウトサイダー大統領ー世界を揺さぶる「異端」の政治家たち』(朝日選書、2017年)、『日米地位協定ー在日米軍と「同盟」の70年』(中公新書、2019年)など。

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