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「令和」初の参院選を「春の陣」から展望すると

「勝者なき」統一地方選から見えてきた与野党それぞれの弱点と可能性

前田直人 朝日新聞世論調査部長

拡大roibu/shutterstock.com

行き場の定まらない気流が渦巻いている

 勝者はいったいどの政党なのか、判然としない。一つの方向に何かの強い風が吹いているわけでもなければ、完全無風とも言い切れない。行き場の定まらない奇妙な気流が、渦巻いているような感じがする。

 それが、12年に一度、統一地方選と参院選が重なる2019年、「亥年選挙」イヤーの「春の陣」を振り返っての印象である。

 自民党は統一地方選前半戦で行われた知事選で、唯一の与野党全面対決の構図となった北海道知事選を制したかと思えば、後半戦と重なった衆院大阪12区・沖縄3区補選はいずれも敗北。大阪府知事・大阪市長の「大阪ダブル選」や大阪12区補選に連勝し、脚光を浴びた維新だが、関西以外ではいまひとつ存在感を示せず、地域限定政党としての性格をいっそう強めたという見方もできる。

 一方、安倍政権に対抗する野党は、野党共闘の枠組みを築いた北海道知事選で大敗。沖縄3区補選は野党系が勝利して面目を保ったが、立憲民主党と国民民主党に分かれた旧民進系の見せ場は乏しかった。議会選では、首都圏などの大都市部を中心に立憲の躍進がみられる一方、地方では民進組織を引き継いだ国民の底堅さが目を引き、2017年の党分裂の後遺症をきわだたせた観もある。

 地方選や単発の国政補選は地域事情に左右されやすいのは事実だ。しかし、政党が有権者の支持動向にどのような影響を与えることができたのかを分析することは、各党ともに国政の一大決戦となる「夏の陣」に向けて戦略を練るうえでの必須の作業となろう。

 「春は、どの政党にとっての『勝ち』なのか、よくわからない結果になる。すべては連休明けの状況次第だ」。選挙前に旧知の自民党関係者が予言していた通りの結果となった勝者なき「春の陣」。亥年の参院選は、統一地方選で地方組織が力を使い切り、自民が苦戦するというジンクスもある。地力にまさる与党も、油断は禁物というところだろう。

 予断を持たないように意識しつつ、この間の調査データをながめながら、与野党のアキレス腱と可能性について探りたい。

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筆者

前田直人

前田直人(まえだ・なおひと) 朝日新聞世論調査部長

朝日新聞世論調査部長。1992年、入社。山口支局、西部本社社会部(福岡)で勤務し、2000年に政治部。首相官邸、自民党、民主党などを担当し、政治部デスク、編集委員(政治担当)をへて、16年より現職。コラム「政治断簡」(2013~17年)、書籍「プロメテウスの罠9~二人の首相」などを執筆。