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[133] 「勝つことはあきらめないこと!」

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

4月9日(火) 午前中、局で「報道特集」の定例会議。15時から日本外国特派員協会で、弘中惇一郎弁護士の記者会見。ゴーン日産前会長のビデオメッセージを公開するという。再逮捕の前日までに撮影されたという8分あまりのものだ。今回も参加することにする。会場にはたくさんの内外報道陣が詰めかけていた。

弘中惇一郎弁護士(右から3人目)らの記者会見ではカルロス・ゴーン弘中惇一郎弁護士(中央)の記者会見
 ゴーン前会長は「自分は無罪だ。これは陰謀だ」とカメラに正対して陳述していた。弁護団の判断で元々のビデオにあった「陰謀の首謀者」の実名についてはカットされていた。尋常ではない捜査の展開に弁護団もピリピリしている。キャロル夫人が再来日する意向だとも。裁判所での参考人としての訊問に応じる意向だという。

 4月4日の再逮捕時の家宅捜索では、キャロル夫人のパソコン、携帯電話のほか、アパートに保釈条件のひとつとして設置された固定ビデオカメラ装置まで押収されたという。検察が保釈中のゴーン前会長サイドの動向に強い関心を持っていたことをうかがわせる。弘中弁護士は「弁護権の妨害」とも強調していたが、特捜部はとことんヤル気だろう。駐日フランス大使は人権問題に理解のある人物だと聞く。キャロル夫人が急遽帰国した際に、空港まで行き、見送ったという情報を得ていたので、そのことを質問したが、真意が伝わったかどうか。自国民保護の原則に従って、仮に大使がそのような行動をとったとしても、何ら不思議ではない、と僕は個人的には考えているのだが。

 学士会館で「調査情報」や「クレスコ」の最終校正。夕刻から神保町で打ち合わせ。その場で、NHKの専務理事に、あの板野裕爾NHKエンタープライズ社長が返り咲いたことを知る。板野氏と言えば、官邸との強いパイプがあり、旧『クローズアップ現代』の国谷裕子キャスターの降板を決めたとされる人物でもある。その後、局に戻り、雑件処理。この処理にやたらと時間がかかった。

玉城デニー・沖縄県知事(右)からネクタイを贈呈されたりゅうちぇるさん=2019年4月22日午後4時5分、沖縄県庁タレントのりゅうちぇるさん(左)にネクタイを贈呈した玉城デニー・沖縄県知事=2019年4月22日、沖縄県庁

NHK、政治的人事の衝撃

4月10日(水) 午前11時から日本記者クラブで玉城デニー沖縄県知事の記者会見。デニー知事は元気だ。今までとは随分違うタイプの知事だ。行動力もある。腰が軽い。誰も質問しようとしないので挙手して質問した。日本政府は沖縄県の声を聞く耳を持たないような対応を続けているが、アメリカ・日本政府・沖縄県の3者による協議機関(SACOではなくSACWO)の設置の見通しや、2019年「海兵航空計画」から辺野古の新基地建設計画が削除されたことの意味などについて。ゲスト・スピーカーは、日本記者クラブの記帳簿に署名と言葉を残していく慣習があるが、今回のデニー知事のは「勝つことはあきらめないこと!」と、お茶目な字体でサインしていた。

 毎日新聞のコラム原稿。新元号報道について書く。夕刻、神田で旧文部省記者クラブの会。言いたいことが腹蔵なく言える会。久しぶりに日本酒をいただいた。ほろ酔い気分の時に、桜田義孝オリンピック・パラリンピック担当大臣が辞任したとの速報。何があったのか。

4月11日(木) 早起きしてストレスと二日酔いの症状を脱するためにプールで泳ぐ。がっつりと。16時から「フィガロ」誌の東京特派員レジス・アルノ―氏へのインタビュー。Oさんと局内でばったり会い、お茶をする。夕刻、N君と打ち合わせ。NHKの専務理事に板野氏が返り咲きという露骨な政治的人事が

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