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沖縄県民投票と基地問題を世界はどう見ているのか

安全保障だけでなく民主主義、環境、人権といった世界の「共通語」で語られる沖縄問題

星野英一 琉球大学名誉教授 同大島嶼地域科学研究所客員研究員

玉城知事誕生に関する米メディアの論調

 米紙「ワシントン・ポスト」(2018年9月29日、Whatever the result in Okinawa election, US troops are there to stay)は、安全保障上の理由での新基地建設とそれへの沖縄の反発を紹介し、玉城知事が誕生すれば両政府にはさらなる頭痛の種だが、いずれにせよ、基地は存続すると報じている。

 対立候補だった佐喜真氏については、政府からの資金が建設業などを潤すことを示唆していると指摘する一方で、高齢者が多い玉城支持者たちの文化的・歴史的背景(deeper cultural, historical sentiments)にも言及している。玉城知事の父親が海兵隊員であること、沖縄の人々の声に耳を傾けることが民主主義だとの信念を知事が持っていることを紹介し、「私の父の国の民主主義が、その息子の言っていることを拒否できるはずがありません」との知事の言葉も引用している。

 この記事は、香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」でも紹介されているが、日本政府は安全保障問題は国が決めることだとし、新基地建設を前に進める決意であると締めている。

衆院沖縄3区補選で当選した屋良朝博氏(中央)とカチャーシーを踊る玉城デニー沖縄県知事(右)=2019年4月21日、沖縄県沖縄市拡大衆院沖縄3区補選で当選した屋良朝博氏(中央)とカチャーシーを踊る玉城デニー沖縄県知事(右)=2019年4月21日、沖縄県沖縄市
 米紙「ニューヨーク・タイムズ」(2018年9月30日、U.S. Marine’s Son Wins Okinawa Election on Promise to Oppose Military Base)は、玉城知事の誕生が政府の基地「移転」計画に待ったをかける可能性を指摘し、これに対して政府がお金で言うことを聞かそうとしているという専門家の意見を紹介する。沖縄に米軍基地が集中する背景などにも触れているが、玉城知事が日本で最初の「混血(mixed-race)」の国会議員であり、知事であると説明し、日本社会が多様性を受け入れる方向に変化していくのではないかという予測を織り交ぜている。

 翌日の社説「沖縄の負担軽減に向けて(Toward a Smaller American Footprint on Okinawa)」では、沖縄の拒否は明確であり、この不公平な安全保障負担は、国家の安全保障といえどもこれを正当化できないとしたうえで、日米両政府は立ち止まって妥協点を探すべきだと主張した。

 米誌「ネーション」(2018年12月13日)は、「米国は地元の圧倒的な反対にも拘わらず新基地建設を進めている(The United States Is Building a New Military Base in Okinawa, Despite Overwhelming Local Opposition)」との見出しで、これは民主主義の問題であると指摘する。さらに一歩進め、もしアメリカが民主主義を尊重しないのであれば、「日米同盟は脆弱なものになる」とする玉城新知事の発言も紹介している。

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筆者

星野英一

星野英一(ほしの・えいいち) 琉球大学名誉教授 同大島嶼地域科学研究所客員研究員

1953年、東京都生まれ。上智大学外国語学部卒業、成蹊大学法学政治学研究科修了、デンバー大学国際学大学院修了。琉球大学短期大学部助教授、法文学部教授、東京女子大学教授、琉球大学人文社会学部学部長を経て現職。専門は国際関係学、国際政治経済論。著書に『沖縄平和論のアジェンダ』(法律文化社、共著)、『Debating Human Rights』(Rutledge、共著)、共編著に『Self-determinable Development of Small Islands』(Springer)等。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです